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ブックマーク / synodos.jp (318)

  • 日本人とカルト――橋爪大三郎氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS

    今、政治と宗教の関係が問われている。 政権与党の政治家が、次々と特定の宗教団体との関係を明らかにした。霊感商法などの活動が問題視される団体である。野党は、これを追究していたはずだった。しかし、野党の政治家もまた、同じ宗教団体と関係を持っていたことが次々と明らかになった。政治家を批判する報道が続くものの、何が問題なのかははっきりしない。 政治家が特定の宗教団体と関係することの何が問題なのか。その質は曖昧なままである。 過度な献金を求めるなど、反社会的な活動を行なう宗教団体をカルトと呼ぶことがある。またカルトは、宗教の初期形態を指すともいう。 宗教は、人間にとって、行動を決める考え方そのものである。 日人の多くは特定の宗教を信仰していない。それにもかかわらず、なぜカルトは日で力を持ち続けているのだろうか。 今考えるべきことは、特定の政治家と特定の宗教団体との特定の関係性に留まらない。日

    日本人とカルト――橋爪大三郎氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS
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    kaos2009 2022/09/01
    “民主主義の基本は、アメリカンデモクラシーです。アメリカンデモクラシーの基本は宗教と政治の関係にあります。”
  • 入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任/重田園江 - SYNODOS

    2022年2月19日に行われた、早稲田大学教育学部一般入試の国語問題(第一問)に、私の著書『フーコーの風向き-近代国家の系譜学』(青土社、2020年)の一部が用いられた(44-51ページ)。 それについて、はじめは何の気なしに問題を解いてみた私は、結果的に以下の問い合わせを早稲田大学入学センターに行うことになった(3月4日。メールの一部を改変なしに引用)。 貴学の教育学部国語の第一問に、私の著書『フーコーの風向き』からの出題がありました。 先日解答例が公表されましたので、それについての質問です。 貴学の解答例 問一 イ 問二 ハ 問三 ニ 問四 ホ 問五 イ 問六 ホ 問七 ニ 問八 ハ 河合塾・代ゼミの解答速報(全く同じ) ホ ハ ニ ホ イ ホ ニ ハ 駿台予備校の解答例 ホ ハ ハ ニ イ ホ ニ ハ この論文全体の論旨、およびフーコーの思想を研究してきた上での私が考える解答例 ハ 

    入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任/重田園江 - SYNODOS
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    kaos2009 2022/03/16
  • 「リベラルな国際秩序」を超えて――アメリカに生まれる新しい国際協調主義/三牧聖子 - SYNODOS

    2021年4月14日、ジョー・バイデン大統領は、20年にわたる「テロとの戦い」において、1つの画期となる決断を表明した。この日、バイデンは、2001年10月、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)がアフガニスタン空爆開始を宣言したホワイトハウスの「条約の間」で演説を行い、「アメリカ史上最長の戦争を終える時だ」と宣言、アメリカ同時多発テロから20年を迎える9月11日までに、アフガニスタンの駐留米軍を完全撤退させると表明した。 アフガニスタンの安定の目処が立たないままの完全撤退については、共和党のみならず、政権内からも反対の声があがっていた。米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は14日の上院公聴会で、米軍が撤退すれば、同地域の軍事力低下につながると懸念を表明した。完全撤退は、こうした懸念の声を、バイデンが押し切るかたちで決定された。 こうした決定の背後にある考えが、「中間層のための外

    「リベラルな国際秩序」を超えて――アメリカに生まれる新しい国際協調主義/三牧聖子 - SYNODOS
  • ドイツのネットワーク執行法で変わったことと変わらないこと――違法なコンテンツの排除はネット上の発言をどう変えたか/穂鷹知美 - SYNODOS

    ドイツのネットワーク執行法で変わったことと変わらないこと――違法なコンテンツの排除はネット上の発言をどう変えたか 穂鷹知美 異文化間コミュニケーション 国際 ドイツでは、ソーシャルネットワーク(以下SNSと表記)上のヘイトスピーチや偽情報の急増を背景に、「ソーシャルネットワークにおける法執行を改善するための法律」が2017年に制定されました。格的な運用から3年余りの歳月がたちましたが、この法律はどのような効果をSNS上や社会にもたらしたのでしょうか。また、運用後明らかになった課題などはあるのでしょうか。稿では、このような素朴な疑問をもとに、この法律をとりまく現状やドイツ社会の変化について観察・考察してみます。 ※この法律の邦語の略称として「SNS対策法」や「SNS法」という表記が使われる場合もありますが、稿では「ネットワーク執行法」という表記を用います。 ※稿では現在のEUでの標準

    ドイツのネットワーク執行法で変わったことと変わらないこと――違法なコンテンツの排除はネット上の発言をどう変えたか/穂鷹知美 - SYNODOS
    kaos2009
    kaos2009 2021/04/12
    苦情件数が事業者によって異なる背景
  • 「国益」を捉えなおす——言葉を選び取る責任と向き合うために/大山貴稔 - SYNODOS

    「国益」追求に傾斜する世界 「国家は国益を追求する存在である」という命題は、変転する世界秩序の趨勢を見定めるうえで重要な手がかりとされてきた。近年の世界的な「自国第一主義」の広がりを目の当たりにすると、この命題が帯びた妥当性を見せつけられているようにも感じられる。トランプ前米大統領が声高に掲げた「アメリカ・ファースト」や、中国の公式発言に散見される「核心利益」をはじめとして、各国の政治指導者が自国の利益を喧伝し合っている様相が頻繁に報じられてきたからである。新型コロナワクチンの開発/確保をめぐる国際的な動向においても、そこに「国益」を競い合う国家のあり方を報じた記事が相次いでいる。 世界的に「自国第一主義」が席巻するなかで、日の動向も決して例外ではなかった。安倍晋三前首相は、就任から程なくして「国益を守る、主張する外交」を施政方針演説で打ち出した【注1】。第19回統一地方選挙(2019年

    「国益」を捉えなおす——言葉を選び取る責任と向き合うために/大山貴稔 - SYNODOS
  • 不可視の被ばく者たち アメリカ国内の核被害と「語り」の抑圧――『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』(岩波書店)/宮本ゆき(著者) - SYNODOS

    2021.03.30 不可視の被ばく者たち アメリカ国内の核被害と「語り」の抑圧――『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』(岩波書店) 宮ゆき(著者) 2021年1月22日、国連の核兵器禁止条約が発効されました。この条約は、核実験はもちろんのこと、核兵器使用の威嚇を含め禁止したもので、核により様々な被害を被った人々や環境回復への支援をも念頭においた、画期的な条約と言えましょう。 残念ながら日、そしてアメリカも、この条約に批准していません。アメリカ国内でもこの条約を歓迎する人は少なからずいましたが、主要新聞の一面を飾ることはなく、2日前に就任式を終えたバイデン新政権の話題でもちきりでした。しかしこのことは、「核により様々な被害を被った人々や環境回復」の問題に、アメリカ国内が無縁だということを意味しません。最大で約3万もの核兵器を保持していたアメリカは、自国とその統治領域で千回以上

    不可視の被ばく者たち アメリカ国内の核被害と「語り」の抑圧――『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』(岩波書店)/宮本ゆき(著者) - SYNODOS
  • ALS嘱託殺人という出来事――なぜ異性介助が問題とならないのか/河本のぞみ - SYNODOS

    ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気を、どのくらいの人が知っているだろうか。 難病中の難病と言われたりする。日で約10000人(平成27年9430人)罹患しているが原因は不明だ。徐々に全身の筋肉が動かなくなり、それはやがて嚥下や呼吸をする筋にも及ぶ。 こう聞くと、恐ろしさでいたたまれなくなるが、多くの人は(私も含めて)自分は罹らないと思っている。だが、誰でも罹りうる病気だ。 私は訪問看護ステーションで仕事をする作業療法士だ。訪問看護の利用者の疾患でALSはちっとも珍しくない。厳しい病気であることには違いないが、病態は様々で、10年以上呼吸苦もなく電動車いすで一人で外出して暮らせている人も居れば、半年くらいの間に立ち上がれなくなり嚥下ができなくなる人も居る。機能低下の最中にある人は日々その症状に直面するのだから、不安は大きい。もちろん家族も介護という仕事がどこまで大きくなるのか考えるだけ

    ALS嘱託殺人という出来事――なぜ異性介助が問題とならないのか/河本のぞみ - SYNODOS
    kaos2009
    kaos2009 2020/11/27
  • コンピュータを使った全国学力テストはなぜ失敗しそうなのか――『全国学力テストはなぜ失敗したのか』(岩波書店)/川口俊明(著者) - SYNODOS

    2020.11.09 コンピュータを使った全国学力テストはなぜ失敗しそうなのか――『全国学力テストはなぜ失敗したのか』(岩波書店) 川口俊明(著者)教育学・教育社会学 2007年以降、日では子どもたちの学力実態を把握し、教育政策や指導改善に活かすという趣旨から、小学6年生・中学3年生の全員が参加する全国学力・学習状況調査(以下、全国学力テスト)が実施されています。毎年都道府県ごとの平均正答率が報道されるため、自治体間・学校間の点数競争を煽るとか、抽出調査で十分なのではないかといった批判を受けながらも、このテストは10年以上に渡って続けられてきました。 2020年現在、この全国学力テストをコンピュータを使った学力テスト(Computer Based Testing: CBTと呼びます)に変えていこうという議論が進んでいます。先だって8月には、文科省のCBT化検討ワーキンググループで、「中間

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  • 韓国の非熟練外国人労働者の受け入れにみる日本の政策へのインプリケーション/春木育美 - SYNODOS

    2019年4月、日政府は改正出入国管理法を施行し、外国人労働者政策を大きく方針転換した。これまで原則認めていなかった非熟練労働者(単純労働者)を正式に受け入れるという、重要な政策転換だ。 新たな在留資格「特定技能」を創設し、一定の技能と日語能力のある外国人(特定技能労働者)に、日での就労を認めた。 特定技能は、最長5年間の期限付きで家族帯同を許されない1号と、在留期間の延長が無制限で家族の帯同ができる2号に分かれる。特定技能の資格を取得する要件として、「日語能力試験」と「技能評価試験」の両方にパスすることを課した。 また、特定技能制度の開始にともない、外国人との共生社会実現に向けて「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」をまとめた。 その大きな柱となるのが、全国100カ所の相談窓口「多文化共生総合相談ワンストップセンター」の設置や行政サービスの多言語化、在留外国人への日

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  • コロナ禍とスコットランド独立――UKの終わりの始まりか?/久保山尚 - SYNODOS

    コロナ禍とスコットランド独立――UKの終わりの始まりか? 久保山尚 スコットランド史、スコットランド政策研究 国際 2020年夏、コロナ禍中のUKでスコットランド独立が再びニュースになっている。というのも、最近の世論調査で独立支持が着実な伸びを見せ、最新の7月上旬の調査では独立賛成54%(「わからない」回答を除く、以下同)とかつてない高い数値を示したからだ。 この状況を受け、ボリス・ジョンソン首相は7月下旬に急遽スコットランドを訪問し、UKの連合を保つ重要性を訴えた。UK政府の各省もスコットランドに対する同様のメッセージの発信を強化するよう伝えられているようだ。政府はちょっとしたパニック状態にあるとする報道もある。 スコットランドを急遽訪問したジョンソン首相 © Robert Perry/Pool/Getty 独立支持増加の背景には一体何があるのか。そしてスコットランド独立は当に起こるの

    コロナ禍とスコットランド独立――UKの終わりの始まりか?/久保山尚 - SYNODOS
  • 「捏造」という言葉の重さについて――批判の自由か《排除》か/志田陽子 - SYNODOS

    近年、「捏造」(ないし「ねつ造」)という言葉によって研究者や文筆家を論難する発言が見られる。こうした発言を名誉毀損に問う裁判も起きている。ジャーナリスト・植村隆氏が提起した二つの裁判(2019年6月26日東京地裁判決・東京高裁で控訴審係争中、2020年2月6日札幌高裁判決、最高裁に上告手続き中)や、研究者グループが提起した「フェミ科研費裁判」(2019年2月12日提訴・係争中)などである。この問題で、「表現の自由」を確保するための解釈はどうあるべきだろうか。 以下は2月24日に行われたシンポジウム「フェミ科研費裁判から考える「表現の自由」と「学問の自由」」(於 同志社大学)での登壇報告をもとにまとめた論考です。質問は、司会者の問いかけや質疑応答でいただいた質問を参考に、筆者(志田)のほうで再構成しています。 ――近年、大学所属の研究者が「捏造」「剽窃」などの研究不正に問われる事例が増えてい

    「捏造」という言葉の重さについて――批判の自由か《排除》か/志田陽子 - SYNODOS
    kaos2009
    kaos2009 2020/07/20
    HPVワクチン論文での「捏造」裁判の事例への言及はないのか ジャーナリスト・植村隆氏が提起した二つの裁判や、研究者グループが提起した「フェミ科研費裁判」
  • 「集団免疫」から「ソーシャル・ディスタンス」へ――イギリスの新型コロナ対策を転換させたひとつの論文 / くみかおる / 著述家・翻訳家 | SYNODOS -シノドス-

    子どものとき、野口英世の伝記を読んで胸をときめかし、今でも日人がノーベル賞に選ばれるたびに血がたぎってしまう、そんな私のような者でなくても、日の新薬「アビガン」には期待を寄せずにはいられないと思う。今この時にも新型コロナウイルスが全世界に広がっていくなか、この薬がどのくらい効くのか、いつから日全国の病院に配られるのか、感染の恐怖におびえる、そして感染して苦しんでいるすべての国の人々に、この画期的な医薬品が一日も早く日から届けられ、笑顔を取り戻していくことになるのか… 結論を先に言おう。これから今しばらく、私たちは冬ごもりに耐えねばならない可能性が高い、と。 “Report 9: Impact of non-pharmaceutical interventions (NPIs) to reduce COVID-19 mortality and healthcare demand” 下

    「集団免疫」から「ソーシャル・ディスタンス」へ――イギリスの新型コロナ対策を転換させたひとつの論文 / くみかおる / 著述家・翻訳家 | SYNODOS -シノドス-
  • コロナウイルス禍が照らし出す国民国家の弱さ/池田嘉郎 - SYNODOS

    コロナウイルスが世界を席巻するなかで、この災禍が国家や社会のあり方にどのような影響を与えているのかについて、色々な意見が出されている。多くの論者は、このコロナ禍によってグローバリズムの理念が大きく後退し、かわりに国民国家が再浮上したと指摘している(たとえば、Gideon Rachman, “Nationalism is a side effect of coronavirus”, Financial Times電子版、3月23日付け;ギデオン・ラックマン「大流行の危ない副作用」、『日経済新聞』3月30日付け)。たしかにヨーロッパでは、コロナ対策におけるEUの役割はよく見えず、個々の国家が前面に出ている。それ以外の地域でも、国家が対策の中心にいることは間違いない。 だが、私は、国民国家の再浮上と留保なしにいうことにはためらいがある。まず、より適切な用語はないのだろうか。イスラエルの一論者は

    コロナウイルス禍が照らし出す国民国家の弱さ/池田嘉郎 - SYNODOS
  • 「ネットは社会を分断しない」? ―― 楽観論を反駁する/辻大介 - SYNODOS

    年1月末、イギリスはついにEUを離脱した。だが、それをめぐって二分された世論の溝は、そう簡単に埋まりそうにはない。ふたたび大統領選挙を迎えるアメリカでも、共和党と民主党の、あるいは保守とリベラルの激しい反目が続いている。トランプ大統領が一般教書演説をおこなった直後、そのスピーチ原稿をびりびり破り捨ててみせたペロシ下院議長のパフォーマンスは、そのことを端的に象徴していよう。 日でも安倍政権シンパとアンチの対立には、これまでになかった根深さが感じられる。たとえば近い将来、憲法改正の国民投票が現実のものとなったとき、はたして私たちは、今のアメリカやイギリスにみられるような社会・世論の「分断」状況を避けることができるだろうか? その意味で、この問題は私たちにとっても決して対岸の火事ではない。 題に入ろう。ネットが、こうした社会や世論の「分断」をもたらす要因のひとつになっているのではないか、と

    「ネットは社会を分断しない」? ―― 楽観論を反駁する/辻大介 - SYNODOS
    kaos2009
    kaos2009 2020/03/30
    “中高年層ほど→政治関心が高まり→政治意識も分極化する、ということだ。そのため、たとえネットが分極化効果をおよぼしていたとしても、見かけ上はこの年齢効果に覆い隠されてしまう”
  • 相模原事件裁判から何が見えるか/西角純志 - SYNODOS

    障害者殺傷事件の裁判がはじまった。この裁判は、2016年7月26日未明、神奈川県相模原市にある知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者など45人が次々に刃物で刺され、入所者19人死亡、職員を含む26人が重軽傷を負った事件の裁判員裁判である。 公判では、今までほとんど語られなかった小中学校・高校、大学時代の友人・知人、元交際相手、当日勤務の職員の証言、風俗店の女性従業員の調書、理髪店、心理カウンセラーなどの証言が次々と証拠として読まれ、事件当時の全容がほぼ明らかにされた。 今回の裁判員裁判は、異例の「匿名審理」である。この事件では、事件当初から「犠牲者は障害者だから」「遺族の意向」と称して警察当局は犠牲者の性別と年齢しか公表しなかった。警察による「匿名発表」、メディアによる「匿名報道」そして、裁判においても「匿名審理」である。公判では、犠牲者「甲」、被害者「乙」、職員「丙」の3グループに

    相模原事件裁判から何が見えるか/西角純志 - SYNODOS
  • 犠牲者の報道は実名匿名の二者択一か――京アニ事件の取材経験から/広瀬一隆 - SYNODOS

    2019年7月18日、京都市伏見区にあるアニメ製作会社「京都アニメーション」(京アニ)の第1スタジオが放火され36人が死亡、33人が重軽傷という未曾有の事件が発生した。平成以降最悪の犠牲者数の放火事件であり、世界的に著名なアニメ製作会社が標的とされたため社会的に大きな注目を集めた。 そして同時に、マスコミの取材姿勢に対する大きな批判が巻き起こった。犠牲者を実名で報じてよいのか、惨劇から間もない時期に遺族に話を聞こうとすることは許されるのか――。これまでも時として議論の俎上に載ってきたテーマが、世間の強い関心を惹きつけた。私自身、地元紙の記者として京アニ事件を取材しながら、犠牲者について報道する意味を考えさせられた。 事件発生から半年たった今、私は少なくとも「犠牲者を実名と匿名のいずれで伝えるべきか」といった二者択一の議論に限界を感じている。実名でも匿名でも、報道の仕方はさまざまある。それぞ

    犠牲者の報道は実名匿名の二者択一か――京アニ事件の取材経験から/広瀬一隆 - SYNODOS
  • ネットは社会を分断しない――ネット草創期の人々の期待は実現しつつある/田中辰雄 - SYNODOS

    インターネット草創期の人々は、ネットは人々の相互理解を進め、世の中を良くすると期待していた。時間と空間を超えて多くの人が意見交換すれば、無知と偏見が解消され、世界はよくなっていくだろう、と。しかし、今日、ネットで我々が目にするのは、罵倒と中傷ばかりの荒れ果てた世界である。相互理解に資する建設的な会話はほとんど見られない。ネトウヨ、パヨクという侮蔑語が示すように、人々は相反する二つの陣営に分断され、果てしなく攻撃しあっているように見える。 ネットとはそういうものだという、あきらめに似た見解もひろがってきた。人間にはもともと自分と似た考えの人や記事を選ぶ傾向があり、それは「選択的接触」と呼ばれている。ネットでは情報の取捨選択が自由にできるため、この選択的接触が非常に強まる。自分と同じ意見の人をツイッターでフォローし、フェイスブックで友人になり、自分と似た見解のブログを読めば、接する情報は自分の

    ネットは社会を分断しない――ネット草創期の人々の期待は実現しつつある/田中辰雄 - SYNODOS
  • ひきこもりはロスジェネ世代に多いのか――ロスジェネ仮説を検証する/井出草平 - SYNODOS

    朝日新聞がひきこもり40代が多いという趣旨の記事を出した(2019.11.19)。 ・ひきこもり、40代が最多 支援先は若年層が中心 https://www.asahi.com/articles/ASMB954RDMB9UUPI00C.html 最近、行政や新聞記者の人とひきこもり関係の話をすると、「ひきこもり40代が多いんですよね?」と話題になることが多かったので、気になっていたトピックである。 一部を引用しよう。 朝日新聞が47都道府県と20政令指定市にアンケート。32自治体が「実態調査がある」と答えた。 このうち17自治体は、民生委員などが地域で把握している当事者の数をまとめる形式で2013~19年に調査。詳細を取材に明らかにした16自治体のうち、14自治体で40代が最多だった。 また、16自治体すべてで40代以上の割合が30代以下より多く、今年2月現在で調査した長野県では年齢不

    ひきこもりはロスジェネ世代に多いのか――ロスジェネ仮説を検証する/井出草平 - SYNODOS
    kaos2009
    kaos2009 2019/12/12
    [民選委員さんから偏る理由を直接聞いたことがある。その地域は都会ではなく地方の過疎地域を抱える市町村であり、民生委員による把握も比較的できている地域
  • 「不自由展」をめぐるネット右派の論理と背理――アートとサブカルとの対立をめぐって/伊藤昌亮 - SYNODOS

    2019年8月、「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が右派からの抗議を受け、中止に追い込まれるなか、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターデザインなどで知られるクリエーターの貞義行が発したツイートが物議をかもし、炎上するという一幕があった。 「キッタネー少女像。/天皇の写真を燃やした後、足でふみつけるムービー。/かの国のプロパガンダ風習/まるパク!」などというその発言には、リベラル派からの激しい批判を中心に、千件を超えるリプライが付けられる一方で、右派からは続々と賛意が寄せられ、2万件近くもの「いいね」が付けられた。そうしたなか、貞は釈明のツイートを投じていったが、するとそれに受けて5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)には関連するスレッドが立てられ、その援護が試みられた。 「不自由展」の検証委員会によれば今回の騒動は、「電凸」などによる抗議が「祭り」に転

    「不自由展」をめぐるネット右派の論理と背理――アートとサブカルとの対立をめぐって/伊藤昌亮 - SYNODOS
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    kaos2009 2019/12/10
    [権威主義的な体制の大きな支えとなっていたのは、実は彼らの反権威主義的な気分
  • 「趣味の歴史修正主義」を憂う/大木毅 - SYNODOS

    拙著『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)を上梓してから、およそ3 か月になる。幸い、ドイツ史やロシア・ソ連史の専門家、また一般の読書人からも、独ソ戦について知ろうとするとき、まずひもとくべき書であるという過分の評価をいただき、非常に嬉しく思っている。それこそ、まさに『独ソ戦』執筆の目的とし、努力したところであるからだ。 残念ながら、日では、ヨーロッパにおける第二次世界大戦の展開について、30 年、場合によっては半世紀近く前の認識がまかり通ってきた。日のアカデミズムが軍事や戦史を扱わず、学問的なアプローチによる研究が進まなかったこと、また、この間の翻訳出版をめぐる状況の悪化から、外国のしかるべき文献の刊行が困難となったことなどが、こうしたタイムラグにつながったと考えられる。もし拙著が、そのような現状に一石を投じることができたのなら、喜ばしいかぎりである。 しかし、上のような事情から、日

    「趣味の歴史修正主義」を憂う/大木毅 - SYNODOS
    kaos2009
    kaos2009 2019/11/18
    [こうしたサブカルチャーを通じたドイツ国防軍や武装親衛隊美化の問題は、アメリカにも存在している。これを研究した歴史家スメルサーとデイヴィス二世は、かかる現実にはない戦史イメージに固執する者を「夢想家(ro