大震災の被害推計が過大すぎると批判したのは、筆者と北野一さんくらいのものだった。過大推計には、大補正予算を作り、復興増税をもくろむ野心が映し出されていた。他方で、当初予算の編成では経費の一律1割削減という、乱暴かつ知恵のないことが行われた。これで困るのは、成長戦略の予算枠にも縁の薄い法務省や外務省といった役所である。 法務省は復興費で刑務所の職業訓練をしたといって叩かれているが、同情を禁じえない。法務省予算の半分は刑務所である。一頃、刑務所は、緊縮財政による不況の犠牲者であふれかえり、収容率は100%を超える悲惨な有様だった。この数年、ようやく2~3%ずつ減って一息ついていたが、これで予算の1割削減を連続してやられたら、どうなるのか。偏頗な予算編成を行った財政当局の犠牲者にしか見えない。 今日の日経の社説は、「水膨れ補正が招いた復興予算の流用」とするとともに、当初予算に機械的にタガをはめる