リビアのカダフィ政権の崩壊を人権外交の観点からみた場合、一つの大きな節目といえるだろう。冷戦後、米欧が主導した人権外交は曲折を余儀なくされてきたが、リビアで市民保護を目的に北大西洋条約機構(NATO)軍機がカダフィ政権側を空爆したことは、新たな原則の下で人権外交の再活性化を図った出発点と位置付けられる。 ◇人権外交再活性化の出発点 日本では東日本大震災の直後で詳しく報道されなかったが、カダフィ政権に最後通牒(つうちょう)を突きつけた3月17日の国連決議1973号は、「保護する責任」という新しい原則の下で武力行使を容認した最初のケースである。 リビア上空に飛行禁止空域を設け、同政権が反体制派勢力を空爆するのを防ぎ、もし違反した場合は多国籍軍が攻撃するとした決議だ。 ◇大量虐殺などに軍事行動取れる 「保護する責任」とは何か。この原則を確認した2005年の国連ミレニアム総会フォローアップ首脳会合