100年前の関東大震災で、混乱の中、震源から離れた千葉県福田村(現・野田市)では、薬売りの行商団15人が自警団に襲われ、幼児や妊婦を含む9人が殺された。通称「福田村事件」だ。香川県からはるばる来ていた行商団が朝鮮人と間違われて殺されたとする説が根強い。 映画「福田村事件」が現在公開中で、注目を集めている。しかし、被害に遭った人々の地元が困惑していることは、あまり知られていない。被差別部落出身という行商たちのルーツがクローズアップされ、地域が特定可能な映像がテレビニュースで流れるなど、差別の二次被害ともいえる状況が生まれている。 「そっとしておいてほしい」と願う住民がいる一方で、「ひどいやり方で殺された先祖を、きちんと弔ってやりたい」との声もある。いまだに理不尽な部落差別が残る今、地域は葛藤の真っただ中にある。 事件から100年の9月6日、千葉県野田市で犠牲者追悼行事があり、香川からも遺族が