岸田文雄首相は23日の所信表明演説で減税を念頭に、国民への還元策の検討を与党に指示する方針を表明。次期衆院選も意識し「減税」で有権者にアピールしたい考えだ。ただ、財政赤字が大きく膨らむ中での減税には専門家から疑問の声も出ている。 政権「経済政策の成果、伝わってない」 「デフレ完全脱却のための一時的緩和措置として、成長による税収の増収分の一部を還元し、国民の負担を緩和する」。首相は演説で、2年間の経済政策の成果をアピールするとともに、その成果を国民に還元する姿勢を示した。演説後の自民党役員会では「過去2年の税収増を分かりやすく税の形で還元すべきだ」とも述べた。 首相が減税を念頭に「還元」を強調するのは、政権が主張する経済成長の成果が国民に伝わっていないと考えているからだ。演説では冒頭、重点を置く取り組みとして「経済、経済、経済」と繰り返し、賃上げが約30年ぶりの水準に達し、民間の設備投資が過