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reviewに関するregicatのブックマーク (348)

  • 世界を決定的に変えてしまう技術や出来事が描かれるSF短篇が集まったアンソロジー──『フォワード 未来を視る6つのSF』 - 基本読書

    フォワード 未来を視る6つのSF (ハヤカワ文庫SF) 作者:ブレイク クラウチ,ベロニカ ロス,N K ジェミシン,エイモア トールズ,ポール トレンブレイ,アンディ ウィアー早川書房Amazonこの『フォワード 未来を視る6つのSF』は、アンディ・ウィアー、N・K・ジェミシンなど今欧米圏で話題の作家ら6人が短篇を寄せたアンソロジーになる。 編者は自身も作に短篇を寄せているブレイク・クラウチで、テーマとしては急速な変化と技術の進歩、その中で育つことの意味について。また数々の変化が世界をどのように変えてしまうのか。変えるべきなのか、変化を防ぐべきなのかといった「未来」について──といったあたりで、けっこうざっくりとしている。 とはいえ、上記の3人にベロニカ・ロス、エイモア・トールズ、ポール・トレンブレイを加えたベテラン&人気作家の計6人が、人間以上の存在となったAI、遺伝子改変、量子コン

    世界を決定的に変えてしまう技術や出来事が描かれるSF短篇が集まったアンソロジー──『フォワード 未来を視る6つのSF』 - 基本読書
  • この夏必読の《脳本》3冊とメタバースの関係は《座標系》にある

    未来のコンピューターは《脳型》か《脳とつながるコンピュータ》なのか? いまのコンピューターはシステム全体が文字どおクロック(時計)仕掛けで、ビー玉1つ1つを順番に指で動かしているような仕組みだ。当に子どものオモチャみたいな素朴なものである。それに対して、脳は、全体が理想的な都市のように生き生きと、しかも回路をたえず自ら書き換えながら動いている。つまり、それ自身が学習して進化している。 脳の《学習して自分を書き換えながら動いている》というしくみの凄さは、脳型コンピューターに取り組んでおられた松元氏(当時電総研超分子部長・東大工学部教授・筑波大学情報工学系教授)に直接うかがった。『月刊アスキー』の1995年8~12月号で「脳型コンピューターを作る」という連載を掲載していたのだ。 1995年8月号 (第1回)脳ってどんなコンピュータ? p389~396 1995年9月号 (第2回)愛は脳を活

    この夏必読の《脳本》3冊とメタバースの関係は《座標系》にある
  • 人間の脳が片方失われてもほぼ正常に機能するのはなぜなのか──『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』 - 基本読書

    脳の地図を書き換える: 神経科学の冒険 作者:デイヴィッド・イーグルマン,David Eagleman早川書房Amazonこの『脳の地図を書き換える』は、『あなたの知らない脳――意識は傍観者である』など一般向けの脳神経科学の著者として知られるデイヴィッド・イーグルマンの最新邦訳作である。彼はスタンフォード大学で「脳の可塑性」を教えている神経科学者で、書もその可塑性──脳が柔軟に変化していく能力──がテーマとなっている。 近年、脳には驚異的に変化していく力があることがわかってきた。たとえば複雑な道を隅々まで覚える必要があるロンドンのタクシー運転手は空間認識に関係する脳の海馬の容量が大きくなることがMRIでわかったが、それと同じことが、脳のあらゆる領域と能力にまたがって起こっているのだ。書が追求していくのは、そうした脳の可塑性の実態と、脳を超えて実社会に応用する可能性についてである。 デ

    人間の脳が片方失われてもほぼ正常に機能するのはなぜなのか──『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』 - 基本読書
  • やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? アバウトにしてアナーキー。ざっくりまとめるとこうなるのだろうか。なんだかやたらと凶暴でハードボイルドな室町時代。日人は律儀で柔和などという言い方は絶対に通用しない。室町時代の後半は戦国時代だったから、というわけではない。武士たちだけでなく、農民や女性、僧侶までもがなんだか殺気立っているのだ。まずは『びわ湖無差別殺傷事件』から。 びわ湖がくびれていちばん細くなっているところ、琵琶湖大橋のかかっている西側に堅田という町があった。というか、今もある。そこに兵庫という名の青年がいた。“他の堅田の住人と同じく、周辺を通行する船から通行量をとったり、手広く水運業を行ったり、場合によっては海賊行為を働いたり“ と、とんでもない多角経営を営んでいた。湖なので、海賊ではなくて湖賊だが、まぁ、それはよ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ
  • 『闇の脳科学「完全な人間」をつくる』 その先駆者の栄光と悲劇、そして「脳操作」の現在と未来 - HONZ

    同性愛の「治療」を受ける男。娼婦を相手に性的興奮を得ることができれば成功だ。男の頭には電極が差し込まれており、後頭部から4のコードが隣の部屋まで延びている。その部屋では、研究者たちが電極から送られてくる計測値を見ながら、男の快楽中枢に適切な電気刺激を与える。 まるでSFだ。しかし、未来の話としてはおかしいと思われないだろうか。現在の状況を考えると、LGBTが治療対象となる未来などやってくるはずがなかろう。未来物語でもなければ架空のストーリーでもない。米国で実際におこなわれた人体実験なのである。 書『闇の脳科学 「完全な人間」をつくる』の冒頭シーンがこれだ。いったいどんな内容のなのか。意識せずとも期待感が広がっていく。まるで脳のどこかに電気刺激が与えられたかのように。 この実験をおこなったのは、精神科医ロバート・ガルブレイス・ヒース。統合失調症病などさまざまな精神疾患に対して、患者

    『闇の脳科学「完全な人間」をつくる』 その先駆者の栄光と悲劇、そして「脳操作」の現在と未来 - HONZ
  • 世界観が魅力的な近未来を舞台とした小説10作品 - 読書する日々と備忘録

    2023年5月作成の最新版はこちら↓ 近未来のテクノロジーを背景とした作品は密かに自分の好きなジャンルのひとつで、面白いがないかいつも気になって探していたりします。たまたまTwitterで個人的に注目している作家さんの一人である逸木裕さんの話題が出たので、この機会に近未来を舞台とした小説を10作品紹介してみようと思いました。どれもおススメできる面白い作品です。 1.電気じかけのクジラは歌う 電気じかけのクジラは歌う 作者:逸木 裕 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/08/08 メディア: 単行 人工知能が作曲をするアプリ「Jing」が普及し、作曲家の仕事が激減した近未来。「Jing」専属検査員になった元作曲家・岡部の元に、自殺した現役作曲家で親友の名塚から未完の新曲と指紋が送られてくる近未来ミステリ。名塚から託されたものの意味と、事故で右手が不自由になった名塚の従妹・梨紗

    世界観が魅力的な近未来を舞台とした小説10作品 - 読書する日々と備忘録
  • 人口の99.9%が冬眠をするようになった極寒の世界──『雪降る夏空にきみと眠る』 - 基本読書

    雪降る夏空にきみと眠る (上) (竹書房文庫) 作者: ジャスパーフォード,Jasper Fforde,桐谷知未出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2019/06/27メディア: 新書この商品を含むブログを見る雪降る夏空にきみと眠る (下) (竹書房文庫) 作者: ジャスパーフォード,Jasper Fforde,桐谷知未出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2019/06/27メディア: 新書この商品を含むブログを見る『雪降る夏空にきみと眠る』はジャスパー・フォワードの久しぶりの邦訳作品にして、幻想、奇想、SF要素がてんこ盛りになった極上のオモシロ小説だ。その世界観の作り込み、プロットの巧妙さ、次から次へと明かされる驚きの事実とその演出、出てくるキャラクタはみなジョジョばりにアクが強くセリフ回しも最高と、どこを取り上げても超一級で、まず一言感想をいうなら「超おもしろい!!!!」って感じだ。

    人口の99.9%が冬眠をするようになった極寒の世界──『雪降る夏空にきみと眠る』 - 基本読書
  • イーガンの最良の部分が詰まった傑作SF短篇集──『ビット・プレイヤー』 - 基本読書

    ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF) 作者: グレッグイーガン,山岸真,Rey.Hori出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/03/20メディア: 文庫この商品を含むブログを見るイーガンの最新邦訳短篇集である! イーガンは最近は『シルトの梯子』やら〈直交〉三部作やら、長篇の刊行が続いていたので、短篇集の刊行としては複数出版社のものをあわせて六冊目、前短篇集の『プランク・ダイヴ』から数えると、八年ぶりだ。そんだけ期間が空くと、たまにSFマガジンに訳出されたものを読んでいたとはいえ、イーガンの短篇ってどんな感じだったかなあと忘れている面もあったが、いやーあらためてこうして通しで読んでみると、やっぱりめちゃくちゃおもしろいな! 収録作をざっと見渡してみると、『白熱光』ラインの格宇宙SFである「鰐乗り」「孤児惑星」、イーガンの現実に対する政治的な危機感がよく現れている「失われた大陸

    イーガンの最良の部分が詰まった傑作SF短篇集──『ビット・プレイヤー』 - 基本読書
  • この世に存在する思考のすべてが記録された図書館──『叡智の図書館と十の謎』 - 基本読書

    叡智の図書館と十の謎 (中公文庫) 作者: 多崎礼出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2019/02/22メディア: 文庫この商品を含むブログを見る『叡智の図書館と十の謎』は多崎礼さんが中央公論新社の『小説BOC』に連載していた一〇の短篇小説をまとめたものになる。いやー、これは当におもしろかった! 一篇一篇が上質な童話でありファンタジィであり現代物であり妖狐ものでありそしてSFでもあり、同時に全部読み終えるとひとつの巨大な構築物が立ち上がってくる傑作で、そら、大好きですわな。というわけで、もう少し具体的に紹介しよう。 構成とか 「叡智の図書館」と「十の謎」というように、時間にも空間にも支配されないという万智の殿堂、無限に等しい書架を持つ「叡智の図書館」を探す旅人と、そこを守り訪れた相手に対して謎掛けをする守り人の物語である。問いかけに対する回答は一度きり、逃亡すれば頭を落とされ、答

    この世に存在する思考のすべてが記録された図書館──『叡智の図書館と十の謎』 - 基本読書
  • 脳が進化していくどのタイミングで神が現れたのか?──『神は、脳がつくった――200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源』 - 基本読書

    神は、脳がつくった 200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源 作者: E.フラー・トリー,寺町朋子出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2018/09/27メディア: 単行この商品を含むブログを見る神は脳がつくったとはいうが、だいたいの感情や概念は脳が作っとるじゃろと思いながら読み始めたのだが、原題は『EVOLVING BRAINS, EMERGING GODS』。ようは「具体的に脳が進化していく過程でどの機能が追加された時に、神が出現したのか?」という、人間の認知能力の発展と脳の解剖学的機能のを追うサイエンスノンフィクションだった。神は主題ではあるが、取り扱われるのはそれだけではない。 認知能力が増大した5つの変化 書では主に、認知能力が増大した5つの重要な段階を中心に取り上げていくことになるが、最初に語られるのはヒト属のホモ・ハビリスである。彼らは230万年前から1

    脳が進化していくどのタイミングで神が現れたのか?──『神は、脳がつくった――200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源』 - 基本読書
  • 『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 - HONZ

    『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 植物状態と診断されながらも、じつは意識がある人たち。そうと示すことがまったくできなくても、たしかな認識能力を持ち、どうしようもない孤立感や痛みを感じている人たち。そうした人たちが置かれている状況を想像し、悪夢とも思えるその可能性に身震いしてしまった経験が、おそらくあなたにもあるのではないだろうか。だが現在の科学は、その可能性を前にしてただ震えているばかりではない。誰かが現にそうした状況にあるかどうかは、なんと科学的に検証できるようになりつつあるのだ。 書の著者エイドリアン・オーウェンは、その科学を「グレイ・ゾーンの科学」と呼ぶ。グレイ・ゾーンとは、おもに植物状態と診断されている患者の、「物事を満足に認識できないが、認識能力を完全には失っていない」状態である。そしてオー

    『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 - HONZ
  • 『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ

    歴史に“もし”はない。もし奴隷制がなければアフリカはもっと経済発展を遂げただろうか、もしイギリス統治がなければインドの識字率はもっと高くなっていただろうか、もしフランスではなくスペインに支配されていればハイチはドミニカよりも豊かになっていただろうか。想像力豊かに刺激的な虚構のストーリーを作り上げることはできても、時計の針を巻き戻し、ありえたかもしれない結末を知ることはできない。物理学者が気温などのあらゆる環境をコントロールしながら特定の条件だけを少しずつ変化させて行う実験のように、歴史を繰り返すことはできないのだから。 歴史だけでなく進化生物学や地史学のように過去を扱う分野では、因果関係を明らかにするための最も強力な手法である実験を、用いることができないのだろうか。そうではないと書の編著者であるジャレド・ダイアモンドとジェイムズ・A・ロビンソンは説く。歴史関連の学問においては、自然実験と

    『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ
  • 『行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000㎞歩いた男との冒険 リアルRPG譚』 絶倫ロバと歩いた3カ月  - HONZ

    春間豪太郎は海外旅行にまったく興味のない青年だった。昼は大学生で、夜は音楽系専門学校を掛け持ちしつつ、バンドでドラムを叩き居酒屋でバイトもしていた。だが親友がフィリピンで行方不明になったと聞き、救出に向かう。親友は無事だったのだが、この旅行が彼の好奇心に火を付けた。 一人旅で野宿をしながら海外をまわっているうちに、“GO”(外国用の通名)の冒険への関心は高まるばかりとなった。最初に練り上げた計画は、なんと「ガイドなしでラクダと一緒に砂漠のオアシス目指して旅行をすること」。サハラ砂漠の単独横断である。アラビア語を習い、ラクダにも乗ってみた。護身術も身に着け、いざエジプトへ。 時はジャーナリストの後藤健二さんがイスラム過激派に殺害された直後のこと。カイロで情報収集するも無理だとしか言われない。その上、エジプト軍が砂漠を封鎖してヘリコプターで巡回していて、外国人が見つかったらすぐに捕まってしまう

    『行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000㎞歩いた男との冒険 リアルRPG譚』 絶倫ロバと歩いた3カ月  - HONZ
  • 転生したら人工知能にさせられ、有無を言わせず居住可能惑星探査に送り出された件──『われらはレギオン1 AI探査機集合体』 - 基本読書

    われらはレギオン1 AI探査機集合体 (ハヤカワ文庫SF) 作者: デニス・E・テイラー,EVILVIT,金子浩出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/04/04メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見るSF大会に欠かさず参加し誰かれ構わずSFネタを喋り散らすクソSFオタクであるボブは、無神論者で、人体冷凍保存会社(死亡した直後に頭部のみを切断し、未来の技術が生き返らせられるようになるまで保存しておく会社。ちなみに実在する。)と契約するような人間だが、そんな彼がある日突然の交通事故で死んでしまう──。 意識を取り戻した彼がいるのは、なんと117年後のキリスト教原理主義国家となったアメリカ。そのうえ彼は生身の身体を持たない複製人(レプリカント)*1となっていた! 国家の所有物となった彼に与えられた任務は居住可能惑星探査! 自己増殖する自動恒星間探査機に知的機能の制御係とし

    転生したら人工知能にさせられ、有無を言わせず居住可能惑星探査に送り出された件──『われらはレギオン1 AI探査機集合体』 - 基本読書
  • 『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』人が想像できることは、すべて実現できる - HONZ

    NASA JPL(ジェット推進研究所)で火星ローバーの自動運転プログラムの開発に携わる小野雅裕さんの最新作。宇宙を夢見た人々たちの想いと歴史をわかりやすく網羅し、最先端の宇宙開発状況から未来へと想いを馳せる。 現代の宇宙開発はあるSF作家のイマジネーションから全てが始まったことをご存知だろうか?1865年に発表されたジュールベルヌの『地球から月へ』というSF小説は間違いなく人類が宇宙空間に到達することを可能にした大きなきっかけを作ったことは間違いないだろう。そもそもSFというジャンルを作ったのもジュールベルヌといっても過言ではない。書を通じて筆者が訴えたいポイントは「イマジネーション」の力だ。ジュールベルヌは言った「人が想像できることは、すべて実現できる。」と。 そして、ベルヌの『地球から月へ』を読んだ無数の人々の中に、ある重大な事実に気づいた者が3人だけいた。ベルヌの小説で人間は大砲に

    『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』人が想像できることは、すべて実現できる - HONZ
  • すべては生き延びるために - 泣きやむまで 泣くといい

    短文のレビューだし、Facebookのほうに投稿するつもりだったのだけれど、なんだか不具合でうまくいかないので、ずっと更新のできていないブログに。 おさなごころを科学する: 進化する幼児観 作者: 森口佑介 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2014/03/10 メディア: 単行 この商品を含むブログを見る 一読して、著者が当に優秀な方だなあ……と。 認知発達についての説明は研究によって書き換えられていく部分もある上に、アプローチも多様なので読者を混乱させないように展開させていくのが大変だと思う。それを「乳幼児観」の変遷や上積みとして、きれいにまとめている。 著者自身の研究に基づく乳幼児観の部分を一番興味深く読めた。「それぞれの時期の行動はすべて適応的だ」というメッセージが、さまざまな特性をもつ子どもと関わる自分たちのような支援者にも馴染むからだろう。 乳幼児期の実行機能が限られて

    すべては生き延びるために - 泣きやむまで 泣くといい
  • 『私はすでに死んでいる──ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 「自己」という感覚を脳はどのように構築しているのか - HONZ

    「私はもう死んでいる」(コタール症候群)、「この足は断じて自分の足ではない」(身体完全同一性障害)、「目の前にもうひとりの自分が立っていた」(ドッペルゲンガー)──わたしたちが「自己」と呼んでいるものに歪みを生じさせるような、驚くべき症例と経験の数々。書は、それらの症例と経験を手がかりとしながら、「自己とは何か」という大問題に迫る挑戦的な一書である。 挑戦的なだけではない。書は痺れるくらいにエキサイティングでもある。書をそれほどエキサイティングにしているのは、以下のふたつの要素だ。 まずひとつは、痛ましくも興味深い症例と経験のストーリー。書は、アルツハイマー病、統合失調症、自閉症といったよく耳にする疾患だけでなく、コタール症候群、離人症性障害、ドッペルゲンガーといったあまり知られていない疾患や経験もとりあげている。そして、それらの症例や経験をドラマチックに紹介する筋立てがじつによく

    『私はすでに死んでいる──ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 「自己」という感覚を脳はどのように構築しているのか - HONZ
  • 世界をディストピアに変えてしまった時間航行士の奮闘を描く時間SF──『時空のゆりかご』 - 基本読書

    時空のゆりかご (ハヤカワ文庫SF) 作者: エラン・マスタイ,金子浩出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/02/06メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る書『時空のゆりかご』は著者エラン・マスタイのデビュー作にして、”ユートピアだった世界”を”くそみたいな世界”──我々が暮らすこの世界のことだが──に変えてしまった時間航行士の、時空を超えた奮闘を描くスマートな時間SFだ。過去を変えることで未来も変わってしまうという使い古された時間SFのアイディアを扱いながらも新しい道、読み味を開拓しており、驚くほど新鮮に読める作品である。 デビュー作とはいえ、著者は『アローン・イン・ザ・ダーク』や『もしも君に恋したら。』などの脚を手がける手練の脚家。書も時間SFにありがちなそこそこ複雑な構造・構成をとり、メタ的な要素までありながらも抜群に読みやすく、ネタ的には格的なS

    世界をディストピアに変えてしまった時間航行士の奮闘を描く時間SF──『時空のゆりかご』 - 基本読書
  • 『女子高生 制服路上観察』女子高生の着こなし戦略は、自分らしくチューンナップすること - HONZ

    書のタイトルだけ見るといわゆるJKビジネス的な何かを連想してしまう人もいるかもしれないがそれは全くの誤解だ。制服メーカーのマーケッターが「なんでこんなヘンテコな着こなしや改造を施すのだろう??」と現場に張り付いてこれでもかと聞き込んでたどり着いた、制服を着る中高生の実態である。様々な読み方ができるがとりわけ改造と着くずし視点からの観察と分析、そしてメーカーとしての攻略法が素晴らしい。 中高生の制服と言うと、ついつい昔々の自分を基準に考えてしまう。私が育った90年代初頭静岡某所の田舎中学校ではちょうどヤンキースタイルの代表と言えるロングスカートの終わりという頃合で、昼休みに円陣バレーに興じる先輩の長い長いスカートがふわりと宙に舞っている姿はとってもすてきだった。ロングスカートは永遠だと思っていた矢先にそんな片田舎にも都会の女子高生文化の嵐がやってきて、私たちは高校に入るとあっけなくあのズル

    『女子高生 制服路上観察』女子高生の着こなし戦略は、自分らしくチューンナップすること - HONZ
  • 『信用の新世紀 』ブロックチェーン後の未来にやってくるのは、物々交換の時代 - HONZ

    ブロックチェーンとは何かを正確に理解するのは難しい。ブロックチェーンとビットコインやイーサリアムの関係、ビットコインというのは一般名称なのか固有名詞なのか、電子マネーと仮想通貨の違いは何なのかなど、個々に考えてみるとよく分からないことだらけである。 冷静になってみればそれも当然で、ブロックチェーンは生まれたての技術であり、AI人工知能)と同じように、評価が定まらないだけに、過大評価されたり誤解されたりもしている。 そもそも、ブロックチェーン技術を発明した「サトシ・ナカモト」なる人物が特定の個人なのか、或いはグループの名前なのかさえ分かっていない。最近では、数学の超難問「ABC問題」を証明したと言われて大騒ぎになっている、京都大学の望月新一教授が開発したという説まで出ているほどである。 私のような文系人間にとっては、ブロックチェーンの技術的な細部よりも、その全体構造やそれが人類の未来にどう

    『信用の新世紀 』ブロックチェーン後の未来にやってくるのは、物々交換の時代 - HONZ