突然子どもたちが「保護」された 「児童相談所です。お子さんたちを保護させていただきました」 今から4年前、2月最後の月曜日だった。 Bさんはいつものように小学4年生と5年生の年子の子どもたちを学校に送り出し、自宅で今日締切の原稿を書いていたところだった。 Bさんは翻訳家。夫も同業だ。 午前11時ちょうどに、Bさんの携帯電話が鳴る。そして、突然、何の前触れもなく告げられたのは冒頭のひと言だった。 「ちょっと待って下さい。子どもが保護されたって、どういうことですか?」 Bさんは混乱した。保護ってどこへ? 兄弟ふたりとも一緒に? 児童相談所って? 次男は先週インフルエンザに罹患し学校を休んでいた。今朝は治癒証明を持っての久しぶりの登校だった。 次男の体調も心配だが、長男は発達障害を抱えていて、環境の変化には適応できない。不安は募る。 学校に電話をして担任を呼んでもらうように頼んだ。が、児相が絡ん
船戸結愛ちゃん虐待死事件現場のアパートには「ゆっくりあそんでね」と書かれたぬいぐるみが手向けられていた=東京都目黒区で2018年6月8日午後3時42分、玉城達郎撮影 改めて注目、支援と介入の機能分ける「児相機能分化論」 児童相談所は虐待死事件のたびに対応の遅れを批判される。遅れの背景として、「親の支援」「子の保護」という、時に相反する二つの機能を負うためだとの声が出ている。実は厚生労働省の検討組織も機能を分けようと議論を進めてきたが、なぜか立ち消えとなっている。【宇多川はるか】 「のちのち親を支援することを考え、子を親から引き離す介入に及び腰になる」。子育ての課題解決に取り組むNPO「フローレンス」の駒崎弘樹代表理事は児相職員の心理を説明する。「同じ職員が支援と介入を両方担うのは、アクセルとブレーキを同時に踏めと言うようなものだ」
低所得世帯の高校生を対象に、通学用品や修学旅行費などが支給される「奨学給付金」に申請漏れが多くあることがわかり、文部科学省は制度案内のリーフレットを作成した。4年前から始まった制度だが、周知不足もあり、申請漏れは私立高校生だけでも推計約2万人。国公立高校生の対象者数はわからず、申請漏れはさらに多いとみられる。 高校生の奨学給付金は、生活保護や住民税が非課税の低所得世帯に対して、授業料以外の教育費を支援する返済不要の制度で、2014年度から始まった。支給対象は7月1日時点の課税状況で決まる。一部の都道府県では、すでに今年度の申請の受け付けを始めている。 非課税世帯の全日制に通う第1子は、国公立で年約8万1千円、私立で年約9万円が支給される。15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合、国公立が年約13万円、私立が約14万円だ。通信制では3万円台となる。 16年度は、国公立の高校生約31万人(8・
大阪市など全国32自治体が、国に育児休業の制度改正を求めている。育休を延長する際には保育所の「落選」通知が必要なため、利用するつもりのない人が申し込む例の増加が目立ち、保育所利用のニーズ把握に障害が出ているためだ。内閣府は2日、地方分権改革の重点事項として対応を検討するよう厚生労働省に要請した。 育児・介護休業法は、子どもが1歳に達する日まで育休を取得できると規定。育休期間中は給与の50~67%が育休給付金として雇用保険から支払われる。例外として、保育所に申し込んだが入れなかった人は、「落選」を伝える自治体の「入所保留通知書」があれば育休を延長できる。昨年10月から延長期間が半年から1年に拡大された。 育休期間の延長は、待機児童問題が長引く中で保護者が離職せずにすむようにとの救済策。だが、「2歳までは子どもと一緒にいたい」と望む人が、倍率の高い人気の保育所だけに申し込むなどして形式的に保留
7月3日、金融庁は、高齢化社会の進展に適応した金融サービスのあり方についての中間整理を公表した。英国にならい、少額投資非課税制度(NISA)で被相続人の非課税枠の相続を可能にするなど、制度改正の検討を求める有識者の意見も盛り込まれた。写真は都内で2012年10月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon) [東京 3日 ロイター] - 金融庁は3日、高齢化社会の進展に適応した金融サービスのあり方についての中間整理を公表した。英国にならい、少額投資非課税制度(NISA)で被相続人の非課税枠の相続を可能にするなど、制度改正の検討を求める有識者の意見も盛り込まれた。 金融庁は中間整理で、退職世代以上が保有する金融資産の日米比較を掲載。米国では個人退職口座(IRA)、確定拠出年金(401k)、投資信託を通じた運用で75歳以上の金融資産が過去20年で約3倍に増えたのに対し、日本の70歳
焼津市で日本語が苦手な外国人の子どもたちの学習支援をしている市民団体「多文化共生を考える焼津市民の会・いちご」(谷沢勉代表)が、市内で暮らす外国人の子どもたちにアンケートを実施した。日本語の学習意欲を問う設問(複数の選択肢を回答可)では84・8%が「もっと日本語を学びたい」と回答した。【松岡大地】 一方で、「学校で嫌なことは?」(複数回答可)との質問には、65・2%が「勉強が難しい」とした。焼津市では水産加工工場などで働く外国人やその子どもが増えており、谷沢代表は「市全体で外国人の子どもの学習支援状況の調査につながってくれれば」としている。 アンケートは外国にルーツを持ち焼津市内で暮らす小中学生(6~15歳)を対象に5月7~28日に行い、49人から回答を得た。ルーツはフィリピンの73・5%が最多。全体の46・9%は7~12歳で来日し、日本生まれは22・4%だった。
保育士不足を理由に、今年4月時点で少なくとも全国24自治体の204の認可保育園で、受け入れる子どもの数を減らしていたことが朝日新聞の調査でわかった。保育施設の数は増えているが、自治体間の奪い合いや厳しい勤務実態から保育士の確保が追いつかず、待機児童が解消されない実情が浮かんだ。 昨年5月の朝日新聞の調査では、保育士が確保できず定員を減らすなどした園は15自治体の118園だった。調査自治体が一部異なるが、保育士不足が深刻化している傾向がうかがえる。 朝日新聞は今年5月、全20政令指定市と東京23区、昨年4月時点で待機児童が100人以上いた44市町村の計87自治体を対象に、昨年4月と比べて定員を削減したり、定員より少ない数で募集したりした園の数と、その理由を聞いた。札幌市、千葉市、横浜市、東京都葛飾区、高松市を除く82自治体から回答を得た。 保育士不足が原因で、昨年4月よりも受け入れ数を減らし
目黒虐待死受け、NPO法人代表ら10万2505人分を 東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)が両親から虐待を受けて死亡した事件を受け、NPO法人代表らは2日、加藤勝信厚生労働相に対し、児童相談所(児相)と警察の間で虐待情報の全件共有の検討などを求める10万2505人分の署名を提出した。 提出したのは、子育ての問題解決に取り組む認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事ら。政府が月内にまとめる方針の児童虐待防止対策に、警察と児相の全件共有のほか、児相の人員増強や里親の支援など「児童虐待8策」を反映させるよう求めた。6月からネット上で署名活動を展開してきた。加藤氏は「すぐ動けるものと時間をかけて検証するものに分けて対応していきたい」と述べた。 児相に寄せられた情報をすべて警察と共有する全件共有は、愛知、高知、茨城県が実施している。厚労省は、児相や市町村が把握した虐待事案のうち、刑事事件と
2018年3月に東京都目黒区で発生した児童虐待事件。 わずか5歳の少女の壮絶な最後に涙を禁じえない。 子を持つ親でもある筆者としては、様々な感情が日々錯綜するが、その感情は一旦脇において、客観的なオープンデータによって日本における児童虐待の姿を俯瞰することとしたい。 本事件は、香川県と東京都という2つのエリアをまたいで虐待が継続され、被虐待児童が死に至ったケースとなっている。本稿では47都道府県の児童相談状況を比較して俯瞰することで、指摘できることがないかを検証してみたい。 まず、47都道府県において、それぞれどの程度の規模の児童相談が受付されているのかを見てみよう(図表1)。 図表からは各エリアで子どもに関する問題(障がい相談、養護相談など虐待事案に限らない)が一体、どれくらいの規模で発生しているのかを見ることが出来る。 最新オープンデータである2016年の児童相談受付件数は、全国計で4
たまたま参加したあるワークショップで、こんなことを言う女性がいました。聞けば親の離婚と再婚を2度経験し、自身も離婚と再婚を経て、家族について考えることが多かったそう。 気になったのが「私は、妹の人生を背負っちゃったんです」という言葉でした。再婚でしか生きる道がなかった母親を困らせまいと、そして幼い妹を守ろうと生きてきたという彼女には、しかし「子ども時代の記憶が断片的にしかない」といいます。 彼女の家族に何が起きたのか? 子どもだった彼女は、何を感じてきたのか? 「おとなたちには、わからない。」シリーズ、今回は親の離婚や再婚のなかで「家族」を考えてきた、坂間葵さん(51・仮名)に話を聞かせてもらいました。 ひとりで家を出た母親 ある朝起きたら、母親がいない。それは、小学1年生が終わる頃でした。葵さんは、両親と妹と4人で暮らしていましたが、このとき父親から「もうお母さんは帰ってこないよ」と言わ
兵庫県多可町で昨年5月、小学5年の女子児童=当時(10)=が自殺した問題で、町教委が設置した第三者委員会は2日、調査報告書を公表した。女児が同級生から蹴られたり、仲間外れにされたりするなどのいじめがあったと認定し、自殺の要因の一つがいじめだったと結論づけた。 「死を選ばざるをえなかった娘の苦しみを理解してもらえない」 校内アンケートで「仲間外れにされている」と別のクラスの児童から指摘がありながら、学校の対応が不十分だったとも指摘した。 女児は昨年5月1日、学校から帰宅した後に自殺を図り、翌2日に死亡した。遺族からの要望や教諭や同級生に対するアンケート内容からいじめが原因の疑いがあるとして、町教委が第三者委を設置し、調査していた。 一方、女児の遺族はコメントを発表し、「娘に対してなされたいじめの詳細が分からず、死を選ばざるをえなかった娘の苦しみを理解してもらえない」として再調査を求める意向を
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