私は市場問題PTの委員として、市場のあり方を検討してきた。その上で、小池都知事の今回の築地、豊洲両方を活かすという案を支持する。これはこれでよく考えられた案だ。この市場の問題は、長きにわたって議論され、検討されてきた。その過程で多くの誤解や思い込みが存在する。それを解説することで、なぜこの案が優れていると言い切れるのか、みなさんの理解の助けになれば幸いである。 中央卸売市場の全国的傾向との乖離 議論の前に、市場とは何か考えておく必要がある。そもそも公設の中央卸売市場が求められるようになったのは、明治維新による社会情勢や経済の急変、度重なる戦争の影響による物価の高騰、全国的な米騒動、関東大震災などを経てのことだ。 Photo by urbz (CC BY 2.0) 今の中央卸売市場は第2次世界大戦後の混乱期に、食料の安定供給を目的に再整備された。 闇市ではなく、官が管理し適切に業界を保護する