近代以降の清酒酵母の親「6号酵母」の発祥蔵である秋田市の蔵元新政酒造。8代目の佐藤祐輔さんは東大文学部を卒業した後、記者、ジャーナリストを経て実家を継いだという異色の経歴の持ち主だ。全国でも数社しか採用してない木桶を使った酒造りを復活させるなど、手のかかる伝統技術を継承。6号酵母の持つ特性を生かした「No.6」など従来の日本酒とは一線を画す味わいを持つ酒を造っている。佐藤さんに学生時代の経験や日本酒造りで大切にしている価値観を聞いた。(取材・安部道裕) 【前編はこちら】 【前編】「酒に興味がなかった」酒蔵の息子が実家を継ぐまで 新政酒造8代目・佐藤祐輔さんインタビュー 日本酒の味に伝統はない ──実家に戻った当初はどんな仕事をしていましたか 私が実家に戻って最もショックだったのは、このままいけば5年で債務超過になってしまうほど経営状態が悪化していたことです。楽しく酒造りをやるつもりが全くそ