東京電力福島第1原発からの処理水海洋放出を受けた中国人の訪日旅行への影響を巡り、首をかしげるような状況が生じている。中国現地メディアは「キャンセル続出」と報じる一方、日本国内の旅行会社は産経新聞の取材に「影響はあまり感じていない」と口をそろえる。専門家は厳格に統制された現地メディアが中国政府の政治的な意図を受け、影響を過大に喧伝している可能性を指摘する。 【グラフィックで見る】日中韓のトリチウム年間排出量 「あたかもキャンセルが続いているかのように報じられるのは迷惑だ」 取材に応じた国内旅行会社の担当者は、中国人観光客を巡る一部の報道に眉をひそめる。 8月24日に始まった処理水放出を受け、中国メディアは「核汚染水の放出」「訪日キャンセル続出」と盛んに報道した。 斉藤鉄夫国土交通相も今月8日の定例記者会見で、8月末までに中国の旅行会社に聞き取り調査をしたところ、実際にキャンセル事例が報告され