東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。今回、その文庫化にあたって、収録内容を一部抜粋して紹介する。 【写真】東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の緊迫した状況 中央制御室 未明の志願 霞が関で小森がベント方針について説明を二転三転させる苦しい会見をしていた頃、中央制御室は、ベント準備の動きがほぼ止まり、重苦しい空気に包まれていた。 室内では、運転員たちが防護服姿に全面マスクを着けて膝を抱えるように床に座っていた。地震発生時、中央制御室には、当番だったA班の運転員14人と操作を補佐する作業管理グループの10人がいたが、非