中国地方を中心に甚大な被害をもたらした西日本豪雨から、この7月で1年が経った。 豪雨災害による鉄道の不通は、地域の通勤・通学に大きな影響を及ぼした。中でも広島市と呉市の間、約30kmは移動の需要が多く、鉄道が復旧するまでの交通の確保にさまざまな工夫が行われた。その中で交通関係者の注目を集めたのが、通行止めとなった自動車専用道路を活用したバス輸送システム「災害時BRT」だ。 今後の日本の公共交通における災害対策はどうあるべきか、広島―呉間の災害時BRTを例として関係者のインタビューを交えながら考えていきたい。 通常50分のバスが3時間半 広島県の地質は花崗岩が多く、風化すると雨でもろくなりやすい「まさ土」となる。そのため土砂災害が起こりやすい。2018年7月の西日本豪雨では、県内で土砂災害が1200カ所以上発生した。
その朝、衝撃的な映像がテレビに映し出されました。広島の上空を飛ぶヘリコプターがとらえた泥水で覆われた街です。 「4年前の土砂災害の悲劇がまた繰り返されたのか」 「みんな避難できたのだろうか」 同時に前の日の夜、私たちがあちこちで目にした光景を思い出しました。自宅に帰る途中で起きていた激しい渋滞です。その意味を考えました。(広島放送局記者・秦康恵・大石理恵) 前日の6日朝。4年前に土砂災害に見舞われた広島市安佐南区に住む私・大石は、ふだんどおり、小学生の長男と朝食をとっていました。いつもと違ったのは、大雨警報が出て長男の学校が休校になったこと。「学校に行けなくて退屈だ」とぼやく長男を母に預けて出勤しました。 この記事を書いているもう1人の私・秦は、今回大きな被害が出た呉市に住んでいます。隣接する広島市に電車で通学する中学3年の長女を早朝に送り出した後、次女を母に、3歳の長男を保育園に預け、「
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