裏金事件を受けた政治資金規正法改正で自民党が曲折の末、法案成立の道筋を固めた。岸田文雄首相は政治資金パーティー券購入者名の公開基準額の「5万円超」への引き下げと、政策活動費の10年後の領収書公開を決断。改革を主導したようにアピールしたが、事態打開へ公明党と日本維新の会の主張を「丸のみ」したのが実情。慎重論を振り切った首相の唐突な判断は党内に禍根を残しそうだ。 【画像】想定される規正法改正の流れ 「わが党案の修正を求める国民の厳しい声についてお話があり、私としても真摯(しんし)に受け止めた」。31日夜、首相官邸。首相は公明の山口那津男代表との会談について淡々と答えた。 約半年かかって法案成立という「出口」がようやく見えたにもかかわらず、自民内の敗北感は大きい。「総理は公明と『10万円超』で妥協できると踏んでいた」。党幹部は落胆する。 自民の最大の誤算は公明の硬化だ。与野党修正協議が大詰めとな