F. Nightingale, Notes on hospitals. "Description A design for convalescent hospital arranged as cottages" (CC BY 4.0) 病院が病人に害を与えている!? フローレンス・ナイチンゲールが『病院覚え書』(Notes on Hospitals)を著したのは1859年のことである。「感染症医として、本書について述べてほしい」という編集部の依頼を受け、私は第3版(1863年)を読んでみた。 ── 実に興味深い。 冒頭。いきなり、「病院がそなえているべき第一の必要条件は、病院は病人に害を与えないことである」とある。そして、こう続く。「とここに明言すると、それは奇妙な原則であると思われるかもしれない」と。 ナイチンゲールは「病院は病人に害を与えないこと」が第一の原則であると考えていた。そのこ