政府は10日、権利者が分からない映像や音楽などの著作物を二次利用しやすくする著作権法改正案を閣議決定した。利用者の相談に応じる一元的な窓口組織を設けて手続きの負担を軽減。過去の映像作品や、個人が創作してインターネットで公開しているコンテンツなどの流通を促進し、文化産業の市場拡大につなげる。 著作物の二次利用には、著作権を管理する団体や個人の許諾が必要。多くの人が制作に関わるテレビドラマなど複数の権利者がいるケースもあり、時間や手間がかかる課題があった。
出版社は中小事業者が多く、経営基盤も弱体だ。万一経営に行き詰まったら、そこが出していた書籍はどうなるのか。本を生き延びさせるために奔走している人たちがいる。仏教書の出版社、サンガは資金繰りに窮し、1月に仙台地裁に破産手続きを申し立てた。同社はアップル創業者のスティーブ・ジョブズが愛読した『禅マインド ビギナーズ・マインド』(鈴木俊隆著)などのロングセラーを持っている。こうした書籍が消えてしまう
本連載は2022年9月に書籍化されました。 羽仁五郎 編『學問・思想の自由のために』(北隆館、1950年) 今、地球上で最も読みづらい本の一つは、20世紀後半の日本の絶版本である。そのことを実感する機会がつい先日訪れた。 近年は古い貴重な書物ほどオンラインで読めるという矛盾した状況になっている。私は18世紀フランスの科学史が専門だが、18世紀に出版されたフランス語の本はそういう状況である。特にGoogle Booksが激しい勢いで書物をデジタル化してしまったこともあり、当時の新聞や雑誌を除けば、大半の刊本はネットで読めるという感覚がある。 しかし20世紀の書物となると、著作権の問題があるので原則としてオンライン公開されない。無論、言語ごとの差もある。英語、フランス語は最近の本でも最初の数ページくらいはGoogle Booksかオンライン書店のサイトで読める。だが、日本語の本はあまりそうなっ
スマホやネットに親しみ、写真や映像を撮影してSNSやプログなどで発信したり投稿したりすることが日常となっている昨今、写真は現代人にとって最も身近な創作物となっています。そこで、知っておいたほうがよいのが、著作権についてです。 上の写真は林ナツミさんの「本日の浮遊」というセルフ・ポートレート作品で、ご本人がジャンプした瞬間を撮影した写真シリーズです。日記形式でウェブサイトに掲載する、という方法で発表されました。林さんが浮遊しているのですが、すべて合成ではなく、時には300回も実際にジャンプして力の抜けている瞬間を撮影したそうです(※1)。 日記形式で本格的に発表し始めたのは2011年1月1日からで、その後、「本日の浮遊」はニューヨーク・タイムズなど世界中で取り上げられました。 林さんは、浮遊のテーマについて、地球の重力を無視することでしょうか(笑)、とインタビューで語っています(※1)。 「
【関連記事:政府の事実上要請「海賊版サイトブロッキング」 なにが問題なのか】 今回、政府が名指しした3サイトの中には、漫画海賊版「漫画村」(事実上閉鎖中)がある。 漫画村が閉鎖する直前の月間アクセス数は、約1億6000回だったとされている。 漫画家らで結成する日本漫画家協会は2月、「創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが利益をむさぼっている」との声明を出していた。 「出版社は対策をしていなかった」と批判の声も上がる中、BuzzFeed Newsは国内大手出版社のひとつ、集英社にこれまでの対策などを聞いた。 今回は、講談社にこれまでの対策や、これからの方針を聞く。 同社広報室室長の乾智之さんが取材に答えた。 ――政府のブロッキング事実上の要請、率直な感想は。 サイトブロッキングについては、さまざまな危惧や懸念、ご批判があるかと思う。10年以上、海賊版に悩まされ、追い詰められてきた国内の
人気漫画を無断でインターネット上に公開していた海賊版サイト「漫画村」(4月に閉鎖)について、福岡県警などが著作権法違反容疑で捜査に着手した。捜査関係者が明らかにした。同県警などは大手出版社から告訴状を受理して捜査を始めたという。漫画村による被害は数千億円に上るとされ、政府も対策に乗り出すなど社会問題化していた。 捜査関係者や出版関係者によると、著作権を持つ漫画家から委任を受けた形で講談社など4社は昨年、漫画村に著作権を侵害されたとして、容疑者不詳で福岡県警や大分県警などに刑事告訴した。この中には人気漫画「進撃の巨人」(講談社)の作者、諫山創(いさやまはじめ)さんや「ONE PIECE」(集英社)の作者、尾田栄一郎さんらが含まれているという。
日本美術著作権協会(JASPAR)などは13日、東京都内で会見を開き、日本の著作権法に、美術作品が転売されるごとに販売価格の一部を著作者やその相続人が要求できる「追及権」を導入するよう政府に求めていく考えを明らかにした。 追及権は芸術家保護の観点から1920年にフランスで始まり、欧州を中心に約90カ国で法制化されているが、日本や米国(カリフォルニア州を除く)、中国などでは導入されていない。 日本では通常、芸術家がいったん作品を手放すと、評価が高まり高値で転売されても恩恵を受けない。会見に出席した日本画家の中島千波さん(72)は「作家にとって切実な問題。追及権への理解を広く求めていきたい」と話した。
政府が4月13日に決定した「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」(案)は、サイトブロッキングをISPに要請することはなかったが、名指しした3サイトに限って緊急避難としてサイトブロッキングを行うことが適当とした。しかしながら古くから確立している緊急避難について、政府が見解を出したからといって裁判所が採用する必要がないとの指摘もあり、引き続きISPは難しい判断を迫られることになる。 間違っていた海外から配信という前提座長の中村伊知哉氏の投稿によると、ブロッキングに踏み切った背景として、民間もDMCAテイクダウンなどの措置を取っても有効ではなく、手詰まりだったという。 そして昨今の事態の悪化に関して、サーバが置かれているとみられる外国の政府等に官民で交渉してもラチがあかず、民間もDMCAテイクダウンなどの措置を取っても有効ではなく手詰まりな状況でした。これが国内サーバであれば、ブロッ
2018年4月11日 著作権侵害サイトへの対策として 立法プロセスを経ずブロッキング施策を要請することについて 一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会 一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会 一般社団法人テレコムサービス協会 一般社団法人電気通信事業者協会 インターネット上の海賊版サイトの問題について、政府がインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)に対して「ブロッキング」によるアクセス遮断措置を要請する検討をしていることが報じられています。 漫画をはじめとした日本の優良なコンテンツ文化を保護育成して行く上で、海賊版サイトは許しがたく、海賊版サイト対策が必要であるということは通信業界においても共通の認識です。 ブロッキングは、権利侵害行為と一切関わりのない人を含めて、すべての利用者の通信の宛先を監視することを前提とするものです。これは国民の憲法上の権利でもある通信の
撤去となったのは残念至極ではありますが、設置をした商店街ときっかけの作品を制作した芸術大学の姿勢に誠実さが欠けている様見受けられましたので、作家・山本伸樹氏の視点から事を解説した松永洋介氏のツイートを中心にまとめてみました。
遅ればせながら、衆議院選挙の結果にはいろいろ思うことや言いたいことがあります。が、TBSラジオの選挙特番、その当確情報において出演者内で最も驚きと感銘の声が上がったと思しきこの方の当選は、全ての音楽好きな方が知っておくべきだと思うのです。 川内博史さん当選確実!嬉しい #ss954 #senkyo954 — Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) 2017年10月22日 元民主党で立憲民主党所属、鹿児島1区で当選を果たした川内氏。彼のことを”全ての音楽好きな方”に知ってほしいと書いたのは、2004年の著作権法改正法案が全ての輸入盤CDの輸入禁止の可能性を孕んでいることについて、その情報を音楽関係者から聞き、世間に伝播し、国に立ち向かったから。彼と(同じく旧民主党所属の)佐藤謙一郎氏が奔走してくださったことで、最終的には法案は可決されてしまったものの今も輸入盤CDは手
大量の書籍を電子化(スキャン)し、全文を対象に利用者が検索できるなど、作品を対象にした新しい検索サービスを始めやすくするため、文化庁は、著作権法を改正する方針を固めた。作家ら著作権者に不利益がほとんど生じないよう留意しつつ、著作物の電子化や配信を許諾なしにできる範囲を広げる。 書籍の全文検索サ…
2017年2月10日 (2022年7月29日追記) 著作権ライブ音楽 「JASRAC音楽教室問題。 取材等で話したことをざっくりまとめてみる【追記あり】」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) さて、この一週間JASRACの嵐がネット上で吹き荒れている。自分や事務所のメンバーもずいぶん色々な箇所でコメントを求められ、またつぶやいたり反響を頂いたりして来た。こうした「祭り」状態の常として一部で論点も拡散・錯綜して来たので、自分なりに一度短くまとめておこう。 念のため整理して置こう。現行法では、非営利の学校等での授業用の「複製」は無許可で可能(35条)。非営利で対価を取らない「演奏」も可能(38条)。今回の論点は、営利非営利を問わず教室での指導は、「公衆に聞かせるための演奏」(22条)ではないので元から著作権の対象ではないのでは、だ。 — 福井健策 FUKUI,
2009年11月 5日 著作権アーカイブ 「擬似著作権: ピーターラビット、お前に永遠の命をあげよう」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 前回のコラムでは、「次回は映画の『製作委員会症候群』への対処策を考えてみたい」と予告した。が、口ほどにもなく苦戦中である。共同製作のメリットを生かしながら、権利分散化のリスクをどう回避するか、考えをまとめる時間がなかなか作れない。気がつけばほかの締切たちがゾンビのように迫って来る。もう年末年始の宿題にしようと早々に決め込んで、今回は別な話。 世の中には、理論的には著作権はないのだけれど、事実上著作権に近いような扱いを受けている(あるいは受けかねない)ケースがある。法的根拠はまったくないか、せいぜいが非常に怪しいものなのに、まるで法的権利があるように関係者が振る舞っている場面。「擬似著作権」と、ここでは名づけよう。 最近で
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