7月の末頃からすでに富士山の原生林の中ではベニテングタケが姿を現してはいたが、盛期に入ったであろう8月になっても、いつもより発生の数が少ないように感じる。例年ならば、今頃、カンバ科の樹木の周辺に、その美しい姿をいくつも確認できるのであるが。 おとぎ話に出てくる「白い水玉模様のある赤いキノコ」のモデルは、このベニテングタケだ。ファンタジーの中に登場するのは、単に見た目の美しさだけではなく、その「効果」によるところも大きいと思う。ベニテングタケの毒性はいわゆる「幻覚系」のものであり、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」などは、ベニテングタケを食した際の視覚の変化についての記述をヒントにしたと言われている。その神秘的な効果が、ファンタジーの世界とつながっているわけだ。 では、ベニテングタケを食べると実際に幻覚が見られるのだろうか?私の経験から言うと、答はノーだ。ただし、ものすごい量を一度に摂