香港の民主化運動は近年、「香港人」としての意識が強い若年層が主導してきたと言われる。当局が香港国家安全維持法(国安法)の施行後、いち早く愛国教育を始めたのは、中国共産党の指導に逆らわない愛国青年を増やすためだ。さらに中国政府は、経済的な実利によって若者を取り込む施策にも力を入れている。 「私たちは中国人でなく香港人」 「2019年の抗議活動を経験した私たちの世代は、共産党や香港政府がどんな弾圧をしたかを一生忘れない。愛国心が芽生えることなど決してない」。抗議活動に参加した20代の林さん(仮名)はこう話した。 林さんは警察に逮捕されるのを恐れ、海外に逃れた。香港での愛国教育について問うと、こう即答した。「私たちは中国人ではなく香港人であり、海外にいても変わらない。香港に残る友人たちも同じ思いだ」 中国政府が「香港独立の主張につながる」と警戒するのが、この「香港人アイデンティティー」だ。 民間