戦地を免れ、命からがら辿り着いた地から、また逃げ出すことになるとは。日本に避難したウクライナ人女性と、身元保証人男性とのトラブルが続発、避難先を離れざるを得なくなる事例が相次いでいるという。ノンフィクションライター・水谷竹秀氏がレポートする。【前後編の前編】 * * * 盆明けの8月16日、在日ウクライナ大使館領事部に、次のようなメールが届いた。 「できるだけ早くウクライナに戻れるように手伝ってください。もうこの国にいたくありません。早く帰りたいです。私は肉体的、精神的にとても疲れています。外国人に対する日本人の態度にはうんざり。助けてください」 送信者は、ウクライナ北部出身のオレーナさん(仮名、30代)。4月5日、林外相を乗せた政府専用機で来日した避難民20人のうちの1人だ。 以来、彼女は地方の農村部で暮らすことになった。来日当初、その姿は地元のテレビや新聞などで大きく報じられた。地域の
(CNN) 国連はロシアのウクライナ侵攻中に増加しつつあるウクライナの女性や子どもに対するレイプや性的暴力の報告について独立調査を求めた。 男女平等と女性のエンパワーメントを推進する国連機関、UNウィメンのシマ・バフース事務局長は11日、ニューヨークで開かれた国連安全保障理事会での演説で「ジェンダーに配慮した」人道対応を呼び掛けた。 「多くの人々の移動、徴兵や傭兵(ようへい)の大量の存在、ウクライナ市民に対して示される残虐性を合わせて考えれば、極めて憂慮される事態だ」とバフース事務局長は述べ、レイプや性的暴力の疑惑は「正義と説明責任を果たすために独立して調査されなければならない」と指摘した。 また、国境を越える際に人身売買のリスクが高まっており、特に若い女性や同伴者のいない10代の若者が危険にさらされているとした。 首都キーウ(キエフ)郊外のブチャなど、ウクライナ軍が奪還した地域でロシア軍
ウクライナ南東部ザポリージャの国内避難民向け施設のテントの外に立つエレーナさん(仮名、2022年4月5日撮影)。(c)BULENT KILIC / AFP 【4月8日 AFP】ウクライナ南部ヘルソン(Kherson)で暮らしていたエレーナさん(仮名)は、同市を制圧したロシア軍の兵士2人から受けた性的暴行について、時に感情を抑えられない様子を見せながらも、自身の身に起きたことを話したいと語った。 エレーナさんは、他の住民から兵士の妻だと密告されたことで標的となった。同様の被害を訴える女性は他にもおり、ウクライナではレイプが「戦争の武器」として使われていると人権団体は指摘している。 ヘルソンから脱出したエレーナさんは、北西に約300キロ離れたザポリージャ(Zaporizhzhia)に到着。同国中部で4人の子どもたちと合流するためにバスを待つ間、AFPの取材に応じた。 ロシアの侵攻が始まった2月
<ロシア政府は「戦争ではない」と言うが、ウクライナを逃れた人々を日本政府が「避難民」と呼んでいることをご存じだろうか。言葉の操作は必ずしも権威主義的な体制下でのみ起こるわけではない> ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、言葉をめぐる不穏な動きが相次いでいる。 プーチン政権は当初から自らの行動を「特別軍事作戦」と称し、「戦争」や「侵攻」などの表現を使ったメディアには記事の削除を要求していた。3月に入ると統制はエスカレートし、報道などがロシア軍に関する偽情報の流布と見なされれば最大15年の禁錮刑を科すという刑法の改正にまで至った。 言葉は現実認識を大きく左右する。だからこそ、権力者は言葉の選択範囲を狭め、その定義をゆがめることで、人々の思考に作用しようとする。 「戦争と言わないこと」に執拗にこだわるプーチン政権の姿は、小説『1984年』の「戦争は平和」というスローガンを想起させる。 だが、こ
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