1941年の太平洋戦争開戦直前、独裁者ヒトラー政権下のナチス・ドイツに潜水艦で渡った元逓信博物館長の神谷和郎さん(88)=東京都大田区=がこのほど、栄町のふれあいプラザさかえで講演し、13歳だった当時の体験を語った。参加した17歳までの少年約40人は本名も出身地も明かすことが禁じられ、飢えや渇きを乗り越えてドイツ製品を手に入れて帰国。神谷さんは、日本軍がその後「遣独潜水艦作戦」を本格化させるのを前に「我々はモルモット(実験台)に使われた」と振り返った。(成田支局 今井慎也) ◆目的知らされず 神谷さんは愛知県の中学1年生だった41年5月ごろ、海洋少年団の一員として現在の蒲郡市に集められた。「水泳をやると言われたが本来の目的は知らされなかった」という。現地には13~17歳の少年が全国から集められたが、本名や出身校は言うのは禁止。神谷さんは同じ読み方の「紙屋」から「ペーパーショップ」と名付けら