内村航平が現役を引退した。 世界選手権6連覇、そしてオリンピック2連覇。世界最高の体操選手と称された“王者”は、私たちに多くの言葉を残してくれた。 「可能性は作れるもの」 「自分のプライドはいらない」 「練習でできないことは、絶対に試合ではできない」 みずからと向き合い続け、苦しみ、それでも体操を信じて進んできた内村。 その言葉は、取材する側の心もつかみ、時に自分に置き換えたときにハッとさせられた。その言葉には、スポーツを越えて私たちの背中を押してくれる「力」があると感じている。 苦難の道「可能性は作るもの」 2016年のリオデジャネイロオリンピックで個人総合2連覇を達成した内村。しかし、その後は苦難の連続だった。 慢性的な肩の痛みなど、体のあちらこちらにほころびが出たのだ。 勝ち続けてきた王者が、自分のパフォーマンスができなくなる現実と向き合う日々。苦しみ、悩み、葛藤する中でも、内村は次