コムナルカの特徴の一つである物干ロープ。=Max Sher from the book «East»/Anzenberger/FOTODOM.RU 共同住宅「コムナルカ」では、赤の他人が一つの大家族のように共同生活を送り、そこから何世代もの特異なソ連人――連邦崩壊後はロシア人――を生み出してきた。人目を気にせず大っぴらに生活する習慣、権利と義務を平均化したがる志向、密告、無私の助け合いの精神などがコムナルカで養われた。 共同住宅はユニークなロシア的現象だ。現れたのは1917年の社会主義革命後。あらゆる住宅が共有の資産となり、政府が裕福な都市住民のアパートに同居人を押し込み出したのが発端だ。 1920年代の破壊と荒廃の時代には、人々は、何とか食べ物にありつき生き延びるために、大都市に流入した。彼らは工場や企業、役所などに職を得ると、コムナルカの部屋をもらうことができた。面積でいうと、大人一人