彼女にODをする理由を尋ねると、「シラフでいるときっかけがなくても落ちこむ。昔のフラッシュバックとかで……」と力なく笑った。実際、ネットでは「パキッた」状態のトー横キッズたちの姿が多く拡散されている。呂律がまわらなかったり、暴言を吐いたり、床にへたりこんだり。彼女たちを面白おかしく「ネタ」として消費する人たちは、ただ「クソガキ」と笑って、蔑んだ。 Sちゃん自身、このままでは駄目だと、なんとなく理解していたという。だから彼女は、「お酒や薬が良くないことは知っている」と話す。だけど辞められないのだ。それ以外に心を鈍らせる方法が見つからなかった。 学校にも、いつのまにか通えなくなる。兄の暴力は収まらず、助けてくれるはずの母親はそれを打ち明けたSちゃんに暴言を吐き、ある日“彼氏”と一緒に家を出ていった。Sちゃんはその直後にトー横で補導され、児童相談所に保護されることになる。周りの大人に兄のことを訴