私は日本国民の一人でありながら、生まれも育ちも純粋戦後派であるがゆえのいわゆる「平和ボケ」(このこと自体は決して悪いことではないと思うが)の影響もあってか、憲法問題について、正面からきちんと向き合うことが殆ど無いまま今日に至ってしまった。そんな具合だから最近まで、「憲法に『戦争の放棄』が謳われているのだから日本が戦争をすることはまずないだろう、九条改定なんて、国民の大多数が戦争反対なんだから、そう簡単にできるわけがない」などと、他人任せの淡い期待ともいうべき思いが心のどこかに巣食っていた。 戦後、今日まで日本がとにもかくにも平和といえる状態が続いてきたのは、実際には平和憲法を守り支えてきた多くの人たちの奮闘によるものだが、有り難いことに、「平和ボケ」の私も知らず知らずのうちにその恩恵を受けながら今日に至っている。しかしいかに私が鈍感とはいえ、さすがに今日の憲法とくに九条をめぐる情勢には危機