国家債務危機は物理現象である、とするアタリさんと私の意見は完全に一致している。私は物理よりも「算数」に近いと思っている。 大前研一 小川 剛=構成 林 昌宏=編集協力 大沢尚芳=撮影 国家債務危機は物理現象である、とするアタリさんと私の意見は完全に一致している。私は物理よりも「算数」に近いと思っている。今の日本国を運営していくのに一体いくらのカネがかかっているのか? 220兆円である。ところが一般会計と呼ばれる予算は92兆円である。不足部分の半分は税ではなく保険や年金などの特別会計で処理されている。国債の償還や利払いも特会である。旧大蔵省の発明したこの特会が素人だけでなく政治家たちの理解を鈍くしている。 菅直人首相の言い出した「税と社会保障の一体改革」はこの両方を俎上に載せることになる。消費税を上げる財務省の策略だと思うが、これが逆噴射し、国家債務破綻を招くきっかけになると私は思っている