欧米のグリーン・ニューディール政策 斎藤幸平(以下、斎藤):前編で名前を挙げたギリシャ元財務相で経済学者のバルファキスは、DiEM25(Democracy in Europe Movement 2025)という大きな運動を展開しています。これは、2025年までに、本当の民主主義を実現するような新しいEUをつくろうという国家横断的なプロジェクトです。 このプロジェクトが大きく打ち出しているのが、グリーン・ニューディール政策です。特別公債を発行して、グリーンなエネルギーや技術に投資する。そうやって安定した雇用を作り出し、エネルギー効率のいい公共住宅や公共交通機関を拡張するわけです。これは、緑の社会システムに移行を促進すると同時に、貧困問題の対策にもなる。 水野和夫(以下、水野):どのぐらいのお金でEUをグリーン経済にできると試算しているんですか。 斎藤:ひとまず2020年から5年間で300兆円