新型コロナに関するデマやトンデモ説、陰謀論が喧(かまびす)しい。いまのところ複数の専門家による推測では、新型コロナの発生源はある種の動物を媒介としたものとされているが、詳細な特定には至っていない。そんな中でも保守系雑誌や日刊紙から発信される新型コロナウイルス=生物兵器(人工ウイルス)説が大手を振って駆け抜けている。 専門家がいくらトンデモと否定しても、この説は今や、まるで真実のように保守界隈内を闊歩している。このような発信は、今次の新型コロナ禍への間違った認識を深めるばかりか、流言飛語の温床になっていることは論を待たない。本稿では保守系雑誌として『正論』(産経新聞出版)を超える勢力となった『WiLL』(ワック出版社)、『Hanada』(飛鳥新社)の最新号を中心に、保守派による「新型コロナは生物兵器」というトンデモを検証していきたい。 1】「武漢の生物兵器研究所から流失」というトンデモが定説
元号が変わって間もなく、父がこの世を去った。77歳。ステージ4の肺腺がんと告知されてから3年頑張ったが、どうしても口から飲み食いできなくなると、急速に痩せ衰えて逝ってしまった。 けれど、あまりにもすんなりと日常生活に戻れてしまう、映画や小説の中の「息子」のように父の死を哀しめない自分がいる。そんな自分に対して人として何か欠けたものをモヤモヤ感じつつ2度目の月命日を迎えたころ、わだかまりの輪郭がくっきりと浮き彫りになってきた。 晩節の父は、どうしてネット右翼的な思想に染まってしまったのだろうか? *** ■「007」が黒人女性に! 政治的正しさはどこへ向かうのか── 遺品PCに残された多数の右傾コンテンツ 遺品整理として父のノートパソコンの中を覗くのは、大きな心理的苦痛を伴う。ブラウザのブックマークを埋める、嫌韓嫌中のコンテンツ。偏向を通り越してまず「トンデモ」レベルな保守系まとめサイトの数
バッシング ~その発信源の背後に何が~ 今春、科学技術研究費助成事業「科研費」を巡り、ある「バッシング」が広がった。ことの発端は、自民党衆議院議員の杉田水脈氏が2月26日の衆院予算委員会分科会で「研究者たちが韓国の人たちと手を組んで(プロパガンダを)やっている」と問題視する質疑を行ったことだった。その後インターネットでは「反日学者に科研費」という言葉で何人もの学者が名指しされてゆく。「先生は科研費を無駄遣いしているのですか?」と学生から問われた教授もいた。「大学にとって批判的精神は常に必要。決してその時々の権力の内に『日本』があるわけではない」と声明を発表する大学も。こうした事態について杉田氏に取材を申し入れたが、「科研費に詳しくないのでインタビューは受けられない」と回答した。 杉田氏と言えば、7月発売の月刊「新潮45」にLGBTに関する記事を寄稿し、事実上の廃刊のきっかけを作ったことで
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