新型コロナウイルスに感染して亡くなった独居男性の自宅を、防護服を着て消毒する従業員ら=5月、神戸市(関西クリーンサービス提供) 日々の体温を詳細に記したメモ書きは、39度を超えたある日を最後に途絶えていた-。新型コロナウイルスの影響で都市部を中心に医療提供体制が逼迫(ひっぱく)するなか、感染しても治療を受けられないまま、誰にも看取られずに自宅で死亡する患者が相次いでいる。親族からの依頼を受け、そうした部屋で遺品整理や清掃、消毒・消臭を担うのが特殊清掃業者だ。彼らが目の当たりにしたのは、住人が死の間際まで孤独と闘ったことをうかがわせる生々しい痕跡だった。 【写真】感染して亡くなった男性の部屋 「コロナで亡くなった家族の部屋を片付けてほしい」 大型連休が明けた5月上旬、特殊清掃事業を請け負う関西クリーンサービス(大阪市東成区)にこんな依頼が寄せられた。 スタッフが向かったのは神戸市内の一軒家。