安倍首相と明仁上皇(上) 明仁上皇の思いは、安倍政権にはなく、沖縄とともにあった 佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長 明仁上皇と安倍首相の軋み 右翼団体「一水会」が安倍首相に対して怒りを表明している。「一水会」の公式ツイッターからその言葉をまず引用しよう。 安倍総理が、4月30日の天皇陛下の退位礼正殿の儀で「天皇皇后両陛下には末永くお健やかであらせられます事を願って已みません・・あらせられます事を願って(已)いません」とやってしまった。これでは意味が逆。問題は、官邸HPから映像削除したこと。潔く字を間違えたこと認め不見識を謝罪せよ。 次のツイートでこう言葉を継いでいる。 安倍総理の国民を代表しての挨拶だが、確かに滑舌の問題もあろう。しかし、一世一代の大厳粛なお役目を努める立場である。間違いがあってはならない。本来、自身が心情を込めた代表文を作成して準備万端
安倍首相と明仁上皇(下) 「国民統合の象徴」を問う上皇のメッセージを封印した安倍政権の有識者会議 佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長 明仁上皇と安倍晋三首相の間に走る深い溝、逆断層の構造を理解するには、憲法第1条に謳われた「日本国民統合の象徴」の意味を実直に追究してきた明仁上皇の生涯と、その生涯の意味を破壊するにも等しい安倍首相の政治活動とを考え合わせてみることが必要だ。 「日本国民統合の象徴」とは何か? 「日本国民統合の象徴」として生きるとはどういう生き方なのだろうか? 内外ともに破壊し尽くし、破壊し尽くされた戦争の惨禍の後、日本国民はどのような構想の下に統合されていくのだろうか? そして、その国民統合の「象徴」として生きていくということは? 皇太子、そして天皇として自分ただ一人に突きつけられたこれらの問いに生涯を捧げた明仁上皇の孤独な旅は、様々な意味で
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