東京・築地市場跡地の再開発をめぐり、都が構想の素案を示した。国際会議場・展示場を核に整備を進めるという。 小池百合子都知事に問う。 夢を語る前に、大事なことを忘れてはいませんか――。 知事はおととし6月の会見で「築地は守る、豊洲を活(い)かす」のキャッチフレーズを打ち出し、こう宣言したはずだ。 「跡地は食のテーマパーク機能を有する新たな市場にする」「事業者が築地に復帰する際のお手伝いはさせてもらう」 築地を支持する人たちに、新旧の市場が両立できるかのような期待を抱かせたのは間違いない。このときの発言は、今なお公式に撤回されていない。 方針を変えたのであれば「変えた」とはっきり認め、理由をていねいに説明し、理解を得るのが筋だ。新たな話を持ち出すのはそれからだろう。 今回の素案は「食」にはほとんど触れていない。都は「築地の歴史や伝統を大切にしながら進める」と言ってきたが、ふたをあけてみればゼロ