「マクロン、辞任」と連呼しながら凱旋門に向かうデモ参加者=8日、パリ(撮影/疋田多揚) (c)朝日新聞社 燃料税の増税に端を発した反政府デモは4週間続き、やむ気配がない。「もうマクロンは信じられない」。失望は怒りへと変わっている。 * * * 私が初めて「ジレ・ジョーヌ」(仏語で「黄色いベスト」)運動を目にしたのは11月23日のこと。フランス東部、スイスとの国境沿いの小さな村でのことだった。幹線道路の片側が何台ものトラックで埋められて封鎖され、ジレ・ジョーヌを着た人々が交通整理をしていた。 確かに実力行使だが、片側は通している。そもそも辺境で交通量が乏しく、大して妨げにもならない。人々は交差点脇でたき火をたいて談笑している。警備中の憲兵までなぜか黄色いベストを着ていた。どこか楽しげで、のどかな光景だった。 その背景にどれほどの怒りがあり、それが政権を追い詰めることになるのか、その時はわ