時間は昼の14時頃,雲のほとんど見られない快晴の青空の下,立ち並ぶアパートのゴミ収集場所として機能しているであろうラックの一番上,天板部に僕は「それ」を見つけた。 僕は上背がある方だが,そんな僕の鎖骨くらいでやや高いラックなので,普段であればさして気に留めないようなスペースだ。 そのラックの前を通り過ぎるとき,視界の端が「何か」を捉えた。 1秒もないような時間の中で情報として飛び込んできたのは,XJAPANのギタリストだった故人HIDE氏を思わせるビビッドなイエロー・ホットピンク,そして巨乳ロリという文字,いや,記号だった。 ここで文字でなく記号であると改めたのには理由がある。 それは,頭が状況を処理しきれていなかったからである。 嘘偽りなく,横を通り過ぎたその瞬間には僕は「それ」が何かを認識できていなかった。 だから,強烈な配色も,そこに書いてあった文字も,果てはそれが本であったかすらき