「え? こんな機械的に裁かれていくの」 私は初めて裁判というものを見て、妙な居心地の悪さを感じていた。 大学時代に私は一度、裁判を傍聴したことがある。 特に傍聴席に行った理由などなかった。 一度は裁判を見てみたいという好奇心があったのかもしれない。 裁判と言ったら海外ドラマのようにスリリングな展開があって、ハラハラドキドキするんじゃないか? そんな淡い期待を抱きながら、東京の都心にある地方裁判所に向かったのを覚えている。 重いゲートを通り過ぎると、警備の人に荷物をチェックされた。 さすがに裁判の傍聴でも、荷物検査には厳しいようだ。 一回のロビーで本日の裁判のスケジュールを確認していると、後ろから次々とおじさんたちがスケジュール帳を開き、自分のノートにメモを取っていく。 こんなに傍聴マニアな人って多いんだな…… 平日の昼間でも傍聴席に来る人は案外多かった。 目の前で人が裁かれるということに妙