日本では「胡散臭い元ハッカー」といったネガティブな印象のあるアサンジだが、欧州の独立系メディアや反権力志向の強いジャーナリストの間では今や「ヒーロー」である。アサンジが一部のメディア関係者を魅了するのはなぜか。そして一体何を目指しているのか。 菅原 出/国際政治アナリスト 2010年12月16日、英国で拘束されていたウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジが保釈された。ロンドンの高等法院前に集まっていた報道陣の前で、アサンジは保釈決定の文書を高々と掲げ、「勝利」の笑みを浮かべた後、防弾車両に乗りこんでイングランド郊外へと消えていった。 アサンジが向かったのはロンドンから北東190キロほどに位置するイースト・アングリアのエリングハム(Ellingham)村の近くにあるエリングハム・ホールであった。ここは18世紀に建てられた240平方メートルもある豪華な3階建てのお屋敷で、寝室だけで10部屋