ウィリアム・ギブスンが未来を描いた短編小説にインスパイアされた、1995年の映画『Johnny Mnemonic』(邦題『JM』)。この中に描かれた世界は、まさに典型的なサイバーパンクです。最先端で、危険で、ものすごく進んでいて、とてつもなくテクニカルで。映画の舞台が2021年初頭であることから、実際の2021年の様子と比べつつ、サイバーセキュリティの観点からこの映画を分析することにしました。 ※例によって、この後はネタバレを含みます。 映画の舞台 映画の舞台は、複数の巨大企業によって支配され、Nerve Attenuation Syndrome(NAS)と呼ばれる神経衰弱の疫病がまん延する、かなり陰鬱な感じの世界です。この疫病の原因は、登場人物の言葉を借りると「情報過多!周りにある電子機器は全部、電波を汚染している」こと、つまり電磁波による環境汚染です。 巨大企業、感染症の世界的流行、新