「あたし、汚れたお皿を洗うのが好きじゃないの」 ある日の夜、子どもを寝かしつけたあとに妻はそう言ったんです。 たぶん金曜日だったと思います。2人で寝る前にお茶を飲んでいる時でした。 ぼくは妻のその言葉にびっくりしたんですね。まさか妻が「皿洗いが好きじゃない」なんて思いもしなかったから。 その頃のぼくは帰りが遅い時が多くて、子どもたちが寝たあとに帰るときもありました。 そういう時は夕飯の食器はすでに洗われていて、一日の家事をすべてを終えた妻がぼくを出迎えてくれました。 ぼくにとって「夕飯の食器が洗われている」というのは当たり前の状態だったんです。 21時のキッチンのシンクが綺麗になっているのが当たり前だと思っていたんです。そこに何の不思議も感じていなかったんです。 もしかしたら、ぼくは妻が皿洗いをするのが当たり前だと思っていたのかもしれません。 それが当たり前の行為じゃなくて、しかも妻の苦手