ところが、このような体制整備に厚労省は後ろ向きだ。新型インフルエンザ感染では、厚労省傘下の国立感染症研究所が取り仕切った。 宮城県保健環境センターの佐藤由紀氏らは、2010年の「宮城県保健環境センター年報」の中で、「感染研への検体輸送体制など多方面準備に追われた」と書いている。多忙な最前線の医療関係者が、研究機関に検体を送るのに「追われる」とは本末転倒だ。 専門家の中には、後日、保存された血清などを用いて、疫学的な調査をすればいいという人もいるが、これでは患者が置き去りだ。医療機関を受診する患者の中には「新型ウイルスにかかっているのではないか」と悩む人もいるだろう。彼らの不安にまったく対応していない。 最優先すべきは公衆衛生ではない 新型ウイルス対策で最優先すべきは公衆衛生ではない。国民の健康や不安に地道に向き合うことだ。 私たちのグループは、東日本大震災以降、被災地で診療や被曝対策を続け