日本学術会議の新会員候補6人が菅義偉首相に任命拒否された問題から、戦前の大学への言論・思想弾圧事件を連想する人は少なくないだろう。日中戦争初期の言論弾圧事件である矢内原事件の実態を描いた「言論抑圧 矢内原事件の構図」などの著書があるニュージーランド・オタゴ大学の将基面貴巳教授(政治思想史)は、今回の事態について「学問の自由を守ってきた堤防が決壊してきている」と警鐘を鳴らす。戦前の歴史から学ぶ、学問の自由の行方は――。【古川宗/統合デジタル取材センター】 説明せぬ政府 権力行使の強引・恣意性 ――首相による任命拒否をどう見ますか。 ◆学問の自由という見地からすると、日本学術会議側が新会員を推薦し、それを政府側が自動的に任命するというのは自然なプロセスです。政府は今回、それをものの見事にじゅうりんしているわけで、「非常に粗雑で乱暴なやり方だな」という印象を当初は持っていました。しかしその後の報
菅首相、判断の正当性を強調 くすぶる説明責任―学術会議、任命拒否問題 2020年10月06日07時07分 菅義偉首相は5日のインタビューで、日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命を拒否した問題をめぐり、判断の正当性を強調した。しかし、その理由は最後まで明かさず、説明責任を求める声は今後もくすぶりそうだ。 学術会議推薦に従う義務なし 内閣府、18年に見解 「日本学術会議は政府の機関であり、年間約10億円の予算を使って活動している。任命される会員は公務員の立場になる」。首相はインタビューでこう語り、会員の任命権は自身にあるとの立場を繰り返した。 首相は今回の任命拒否で、学界の「前例打破」を狙った。学術会議の会員候補について、インタビューでは「事実上、現在の会員が自分の後任を指名することも可能な仕組みとなっている」と疑問視。政府高官は「学者の世界だといっても政府の組織だ」と心中を代弁する。 そ
日本学術会議の新会員候補のうち、6人の任命を首相が拒否したとして日本学術会議や野党、メディアが反発している。 【写真】「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした…その理由は? 立憲民主党、共産党など一部の野党は、学問の自由が侵害されると発言している。また、過去の1983年の国会での政府答弁を根拠として、「首相の任命権は形式的なので、日本学術会議の推薦どおりにしなければならず、裁量の余地はない」としている。 一部メディアも社説で反発しており、論旨は一部野党と同じだ。 ---------- (朝日新聞)「学術会議人事 学問の自由 脅かす暴挙」 (毎日新聞)「学術会議6氏任命せず 看過できない政治介入だ」 (日経新聞)「なぜ学者6人を外したのか」 (東京新聞)「学術会議人事 任命拒否の撤回求める」 ---------- 一方、産経新聞社説は、論調が異なり、日本学術会議のほうに問題があるとして
任命を拒否された「日本学術会議」新会員候補6人のうちの一人である岡田正則・早稲田大教授は、行政法研究者の立場から「首相や官房長官は、法律をまったく知らずに発言している」と厳しく指摘する。ゼミから多くの官僚を輩出してきた教育者として「有能な職員たちが、法律を破る手先にされている。見ていていたたまれない」と語る岡田さんに、任命拒否の何が問題なのかを詳しく聞いた。【木許はるみ/統合デジタル取材センター】 理不尽に廊下に立たされている気分 ―-岡田さんは、10月3日に首相官邸前で行われた「任命拒否」に抗議する集会に参加し、マイクを握りました。どのような思いで参加したのですか。 ◆10月1~3日の日本学術会議の総会や委員会に、私は傍聴という形で出席しました。本来であれば分担すべき役割が担えませんでした。会員が少なくなれば、部会の運営自体も十分にできませんので、一刻も早く正常化する必要があります。集会
菅総理大臣は、内閣記者会のインタビューで、「日本学術会議」が推薦した新たな会員候補の一部の任命を見送ったことについて、学術会議に年間およそ10億円の予算を充てていることや、会員が公務員になることなどを指摘したうえで、「総合的、ふかん的な活動を確保する観点から判断した」と述べ、今後も丁寧に説明していく考えを示しました。 この中で菅総理大臣は、「日本学術会議」が推薦した新たな会員候補の一部の任命を見送ったことについて、「法に基づいて、内閣法制局にも確認の上で、学術会議の推薦者の中から、総理大臣として任命しているものであり、個別の人事に関することについてコメントは控えたい」と述べました。 そして、「日本学術会議は政府の機関であり、年間およそ10億円の予算を使って活動しており、任命される会員は公務員の立場になる。人選は、推薦委員会などの仕組みがあるものの、現状では事実上、現在の会員が自分の後任を指
日本学術会議が新会員として推薦した105名の研究者のうち6名が、内閣総理大臣により任命されなかったことが明らかになりました。日本学術会議は10月2日に総会を開き、任命しなかった理由の開示と、6名を改めて任命するよう求める要望書を10月3日、内閣総理大臣に提出しました。 日本学術会議は、戦時下における科学者の戦争協力への反省から、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」(日本学術会議法前文)ことを使命として設立されました。内閣総理大臣の所轄でありながら、「独立して」(日本学術会議法第3条)職務を行う機関であり、その独立性、自律性を日本政府および歴代の首相も認めてきました。現在、日本学術会議の会員は、ノーベル物理学賞受賞者である現会長はじめ、各分野における国内でもっともすぐれた研究
菅首相「前例踏襲良いのか」 学術会議、任命拒否は適法―理由明示せず 2020年10月05日20時58分 首相官邸に入る菅義偉首相=5日、東京・永田町 菅義偉首相は5日、首相官邸で内閣記者会のインタビューに応じ、日本学術会議の会員候補105人のうち6人の任命を拒否したことは適法との見解を重ねて示した。その上で「(退任する)会員が後任を指名することが可能な仕組みだ。推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲して良いのか考えた」と説明した。 官邸、16年人事で難色か 学術会議問題 首相がこの問題で一定の時間を割いて説明するのは初めて。野党は反発を強めており、26日召集予定の臨時国会で厳しい追及を受けるのは確実だ。 6人は安倍政権が進めた安全保障関連法や特定秘密保護法の制定に反対してきた。首相は6人の見解と任命拒否の判断は「全く関係ない」と断言。ただ、判断の具体的な理由については明らかにしなかっ
日本学術会議が会員の候補として推薦した人のうち、菅総理大臣が6人を任命しなかったことを受けて、映画に携わる監督や脚本家などの有志が、「表現の自由への侵害であり、言論の自由への明確な挑戦だ」などとして撤回を求める抗議声明を出しました。 声明では「日本学術会議が推薦した候補を首相が拒否するのは本来あってはならないことです」としたうえで、「この問題は、学問の自由への侵害のみに止まりません。これは、表現の自由への侵害であり、言論の自由への明確な挑戦です」と記しています。 そして、「私たちはこの問題を深く憂慮し、怒り、また自分たちの問題と捉え、ここに抗議の声を上げます。私たちは、日本学術会議への人事介入に強く抗議し、その撤回とこの決定に至る経緯を説明することを強く求めます」と結んでいます。
菅総理の母校である、法政大学のたなか総長が、「日本学術会議会員任命拒否に関して」とメッセージ。総理の就任にあたって活躍を願うとした母校からの、メッセージです。菅総理、ぜひ、ご一読を。 https://t.co/a2Ql3rVt0L
憲法23条の「学問の自由」は、「個人が自由に学問ができること」だけでなく、「公的学術機関が国家から介入を受けずに、自主的な活動ができる」ことが含まれる。後者の自由がなければ前者の自由も保障されない。 日本学術会議という公的学術機関への人事介入が、憲法23条違反であることは明瞭だ。
科学者の代表機関「日本学術会議」が推薦した新会員6人を菅義偉首相が任命しなかった問題に関連し、2016年の第23期の補充人事の際にも「学術会議が候補として挙げ、複数人が首相官邸側から事実上拒否された」と、同会議の複数の元幹部が毎日新聞の取材に明らかにした。官邸側の「人事介入」が第2次安倍晋三政権の際にもあったことになる。【木許はるみ、近松仁太郎】 取材に応じた複数の幹部のうち、同会議元会長、広渡清吾・東京大名誉教授が実名で証言。自身が会長退任後の第23期後半、複数の会員が定年70歳を迎えたため補充が必要になり、学術会議が官邸側に新会員候補を伝えた。しかし、官邸側がこのうち複数人を認めず、候補者を差し替えるよう求めてきたという。学術会議側はこれに応じず、一部が欠員のままになった。 広渡氏…
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