国土交通省は3月22日に、2007年1月1日時点の公示地価を発表した。16年ぶりに全国平均地価が上昇したため、報道には「もはや資産デフレは終わった」という論調も見られた。だが、みずほ証券の石澤卓志・不動産アナリストは、水面下では厳しい選別が進んでいると指摘する。公示地価からは見えない実相を聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン=谷川 博) NBO 公示地価が16年ぶりに全国平均で上昇し、「ようやく日本の資産デフレが終わった」と言われています。 石澤 それほど大騒ぎすることではありません。既に東京都の都心部など一部地域では3年ほど前から地価の底打ち感が出ています。そうした状況を見ている不動産専門家からすれば、資産デフレはとっくの昔に解消されています。「今さらなんだ」という印象です。公示地価はリアルタイムの指標ではないので、実態より遅く傾向が出てくるのです。いわば、実態の後追いなんですね