発達障害について、精神科医で信州大付属病院子どものこころ診療部長の本田秀夫さんに聞きます。(聞き手・松本航介) 発達障害の人は、思春期以降にうつや不安などの二次障害が生じることが多いと言われています。でも、全員がそうなるわけではありません。 Cさんは、3歳から私たちが診てきた男性です。3歳の頃は典型的な発達障害の特徴がありました。共感性に乏しく、一人遊びばかりして他の子に興味を向けない。そこで、幼児期から専門家の支援を受けて育ちました。 今、20代後半です。高校を出て電機メーカーに就職しました。障害者としての就労ではなく、普通の就職です。会社では、問題だと思ったことは上司でも臆せずにズバズバと指摘します。いわゆる「忖度(そんたく)」は、得意ではありません。 こういうタイプは会社では嫌がられることがあります。ところが、この会社は、「変に忖度するより前向きな提言をする社員の方がいい」と評価して