旧基本法は、来たるべき高度成長期を見据え「農業の生産性向上」「農業者の所得向上」を目標としていた。具体的には「高付加価値作物へのシフト」や「食糧管理制度による価格維持政策の見直し」を目指すものであった。 しかし、減反によるコメの価格維持政策は継続され、こうした目標は達成されることはなかった※1。1980年代には食糧管理法に基づく食糧管理費※2が1兆円を上回り、多大な国民負担として注目が集まったが、農業の構造改革は遅々として進まなかった。 その一方で、自動車産業・電機産業を中心とした日本の国際競争力が高まり、日米貿易摩擦が政治問題化し、ついに1993年に関税及び貿易に関する一般協定(GATT)ウルグアイラウンド農業交渉が妥結して、「農産物でも関税をはじめとする国境措置については極力排除」する国際ルールが原則的に取り決められた。 1999年に制定された現行基本法は、コメを中心とした食料輸入の国