それはまさに、急転直下で決まったオペレーションだった。 武装勢力タリバンが権力を掌握し、アメリカをはじめとする国際社会が支援してきた政権が崩壊した、アフガニスタン。残された日本人などを退避させるため、自衛隊に派遣命令が下った。現地に向かったのは、輸送機など4機と、隊員約260人。退避させることができたのは、日本人女性1人と、アメリカから要請があったアフガニスタン人14人だった。日本大使館やJICA(国際協力機構)で働くスタッフ、その家族など、政府が退避の対象と想定していた500人以上のアフガニスタン人は、結果的に、1人も救い出すことはできなかった。 今、「自衛隊を派遣する判断が遅かったのではないか」という指摘が、専門家などから相次いで出されている。混乱の極みにあったアフガニスタン。あのとき、自衛隊はどう行動していたのか。その内幕を、徹底取材で報告する。 (社会部記者 南井遼太郎 西牟田慧