フロリダ州タラハシーの集会で展示された禁書処分対象の本。性的少数者(LGBTQ)や性的暴力に関する本、セックスを描写する本などが米国各地の公立学校図書館から撤去されている=2023年3月21日、Agnes Lopez/©The New York Times
世界で猛威をふるっているコロナウイルス。仕事がリモートワークとなったり、プライベートでもなるべく人と会うことを避けるなど、人とかかわること自体が少なくなっています。コロナウイルス以外の話題はニュースで「埋もれてしまいがち」でもあります。今回は今月上旬に行われたドイツのIntegrationstag(和訳:統合サミット)をはじめ、そんな埋もれてしまった話にスポットを当ててみたいと思います。 自らのルーツに触れたドイツのメルケル首相 コロナウイルス騒動が始まったばかりのころ、ヨーロッパではアジア系の住民への差別が問題となっていました。でも「何々人に見える」というふうに「人を肌の色などの見た目で判断する」ことはコロナウイルスが登場する前から行われてきました。先日ドイツのメルケル首相がドイツ政府によるIntegrationstag(和訳:統合サミット)のスピーチの中でそういった理不尽について語りま
CEOの突然の解任と復帰、理事会の再編劇 背後に「思想」対立? まずOpenAI内紛劇を簡単に「おさらい」しておこう。 OpenAIの理事会は11月17日にサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)を解任。ところがわずか5日後、11月22日にアルトマンはCEOとして復帰すると発表された。 ただしアルトマンは理事の地位は失い、また自分の行動について独立した調査を受けることに同意した。OpenAIの理事会は再編となり、旧理事6名のうち、アダム・ダンジェロ(Quora CEO)だけが残り、ブレット・テイラー(元Salesforce 共同CEO、元Twitter 取締役会会長)、ローレンス・サマーズ(ハーバード大学教授、元財務長官)の2名を加えた3人態勢での再出発となった。 OpenAIのサム・アルトマン前最高経営責任者(CEO)=2023年11月6日、サンフランシスコ、五十嵐大介撮影 アルトマン解
大妻女子大学准教授、男性学研究者 1975年、東京生まれ。ジェンダー論や男性学などが専門。主な著書は「男性学の新展開」(青弓社)、「男がつらいよ」(KADOKAWA)、「男が働かない、いいじゃないか!」(講談社)、「男子が10代のうちに考えておきたいこと」(岩波書店)。 ――国際男性デー、最近少しずつ聞くようになってきましたが、どんな記念日なのでしょうか。 一言で言ってしまえば、男性というジェンダーを考える日です。ジェンダー不平等(男女格差)を生み出している男性側の問題と、一方で男性自身も生きづらさを感じているという、そのどちらも考えましょう、という日です。 つまり、男という性別がその人、あるいはほかの人たちの生き方にどんな影響を与えているのか、という視点を持つための日だと思います。 とはいえ、日本では知られるようになったのは最近です。女性たちが性暴力被害をSNSで訴えたMe Too運動(
マスク氏が買収する以前のTwitterは、高度な技術力を備え合理的な経営をするシリコンバレー流のテクノロジー企業だと思われてきた。だが、マスク氏が買収した後のTwitterの経営を合理的な施策の積み重ねとして理解することは困難だ。むしろ非合理的な、はた迷惑な出来事に目を背けず調べることで、はじめて理解できることが多い。 同社に起きた出来事を調べていくと、あるパターンが見えてきた。オーナーのマスク氏は、技術やビジネスの合理性、持続性よりも、刹那的な注目を重視する傾向がある。そして特に自分と親和性があるグループ——特に差別発言で物議をかもすことでSNSを盛り上げ閲覧数を稼いでくれる極右インフルエンサーとその支持者からの人気を重視する。イーロン・マスク氏自身も「迷惑系インフルエンサー」としての行動を取っているのである。 予告なしの利用制限にユーザーは悲鳴 ある日突然、予告なしに利用制限が始まった
EU(欧州連合)は年内に新デジタル規制DSA(デジタルサービス法)を発効させる。前編で述べたようにTwitterはすでにEUの監視対象だ。Twitterのような巨大SNSでのヘイトスピーチ放置には巨額の罰金が課されるようになる。 この2023年6月下旬にはブルトン欧州委員が同社を訪問してヘイトスピーチ対策をしっかり実施するよう念を押した。それを考えると前述のヘイト監視団体CCDHを初めとする外部団体の指摘はTwitterにとってはありがたい助言のはずだ。指摘された不備を解決しなければEUでの事業継続は無理だからだ。 ところがTwitterは2023年7月31日、CCDHを訴える暴挙に出た。この経緯を見ると、TwitterがEUが求めるヘイトスピーチ規制を遵守するとは考えにくい。このままではTwitterのEU撤退は避けられないといえる。あるいは「罰金刑は不当だ」としてEU当局を訴える暴挙に
ナチュラファームの「エイビアリー」と呼ばれる立体型平飼い鶏舎。止まり木や巣箱、砂浴びのできる運動場などを備えている=埼玉県寄居町、太田匡彦撮影 鶏たちは止まり木で体を休め、もみ殻を敷いた床面の運動場では砂浴びもでき、巣箱に入れば落ち着いて卵を産める……。横幅18メートル、奥行き80メートルの体育館のような鶏舎で、新鮮な水と餌を提供されながら、1万数千羽の鶏が自由に動き回っていた。卵を集めたり、ふんを回収したりといった作業は自動化されている。 アジアで初めて立体型の平飼い鶏舎「エイビアリー」を導入したナチュラファーム(埼玉県寄居町)。社長の一柳憲隆さん(51)が鶏舎を案内してくれた。 エイビアリーによる飼育を、一柳さんは「楽しい」と表現する。「たまに巣箱以外のところに卵を産んだりして、人の思い通りにならない時もある。そういうことがあれば、じゃあどうすればいいのか考え、工夫をする。生き物を飼っ
堀江貴文さんとアニス・ウッザマンさんの対談の様子 堀江さんは7月6日、京都大学で開かれたスタートアップの世界的なピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ2023」の国内予選にゲストとして登壇。主催するアメリカのベンチャーキャピタル「ペガサス・テック・ベンチャーズ」代表、アニス・ウッザマン氏と対談した。 テーマは「日本のベンチャー企業が世界で輝くために」で、堀江さんは自身の起業経験や、今後、世界市場でも競争力がある分野について語った。対談の主な内容は次のとおり。(以下、敬称略) 対談した堀江貴文さん(右)とアニス・ウッザマンさん=7月6日、京都大、関根和弘撮影 ウッザマン 堀江さんはこれまで色んな企業を作ってきました。大学にいたときにも作ったと思うんですが、起業したきっかけや、そのときどんな挑戦があって、どう乗り越えたのか、聞かせて下さい。 堀江 僕は東京大学の在学中に会社を作ったんで
サケを迎える伝統儀式「アシリチェップノミ」を行うラポロアイヌネイションのメンバーら=2020年9月20日、北海道浦幌町、朝日新聞社 北海道南東部、十勝川下流に位置する浦幌町。3月上旬、雪で覆われた浦幌十勝川の河口から上流を眺めながら、地元のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」の会長、差間正樹さん(72)が静かに訴えた。 「いつのまにか、サケは『捕る』ものから『つくる』ものになってしまった」 かつて十勝川沿いには、多くのアイヌのコタン(集落)があった。毎秋、生まれた川に戻ってくるサケは、神々の国から送られた「カムイチェプ(プは小文字)」(神の魚)と呼ばれ、生活に欠かすことのできない重要な存在。主要な食料であり、交易の品でもあった。 丸木舟でサケを捕り、儀式の場所に戻ってきたラポロアイヌネイションのメンバーら。現在、道内の河川でのサケ漁はアイヌ文化の伝承、保存目的に限り、知事の許可のもとで
――専門家や現地への取材を重ね、作品を描く中で、自然環境にまつわる印象的なことはありますか。 連載初期のころに面白いなと思ったのが、サケの皮で作った靴です。 「ゴールデンカムイ」では、ちょうど4月から放送中のアニメ第4期でチカパシという男の子が履いています。明治後期生まれの砂沢クラさんというアイヌの女性のご著書に、小学校の時に履いていたとありましたので、その頃までは使われていた地域があったということですね。 サケの皮の靴を履くアイヌの男の子チカパシ ©野田サトル/集英社 この靴、ヒレの部分が靴底にあって、雪道の滑り止めになるんですが、寒さで靴自体がカッチカチになるのでストーブで柔らかくしようと置いておくと犬に食べられるという、なんとも悲しくも可愛らしい話がありました。 僕は手元にサケ皮の靴の資料が欲しくて、二風谷の工芸家の方に作って頂こうと頼んだのですが、「もう現代のサケでは大人用の大きな
帰国し、報道陣の取材に応じるミャンマーで拘束されていた映像作家の久保田徹さん(中央)=2022年11月18日午前6時28分、羽田空港第3ターミナル、瀬戸口翼撮影 ――今回の釈放を巡り、現地ではどのような動きがあったのでしょうか。 ミャンマー(ビルマ)では、今日(11月17日)が「National Victory Day(国民の日)」という祝日にあたります。このため、「17日に恩赦がある」という噂はこの数日、SNS上で見かけておりました。「もしかしたら、久保田さんを含む外国人の解放があるかな」とも想像しておりました。 昨日(16日)、日本時間の21時(現地の18時30分)ぐらいまで、国営・英字紙だけが情報省の公式サイトにアップされていませんでした。普段はアップされているはずなので、「もしかしたら大きな動きがあるのかもしれない」と予想していました。 17日朝(日本時間)になって、ミャンマーの活
突然かかってきた電話の主は、元ウズベキスタン大使の河東哲夫さんだった。 河東さんは、外務省を辞めて評論家として活動していた。面識はなかったが、小泉さんが軍事雑誌に書くものを読んでいた。 「彼には、事実関係を丹念に拾い出すだけでなく、それが意味することを概念化する力があった。他の著者とはちょっと違っていたんです」 「一度、会って話さないか」と河東さんに誘われ、都内のホテルで食事をした。 「大学ではアカデミックな研究が出来なかった」と打ち明けた小泉さんに、河東さんは言った。「アカデミックではない研究をやればいいじゃないか」 そうか、大学でなくても研究はできるはずだ。ニッチなことをやれば仕事の需要はあるのかもしれない、と思うようになった。 2018年にパリの武器展示会「ユーロサトリ」で=本人提供 2009年、河東さんの推薦で外務省国際情報統括官組織の専門分析員になった。ロシアの軍事関係の分析レポ
小泉悠さんにとって、夏は一つの思い出がよみがえる季節だ。 毎日のように通っていた図書館のある市民センターの2階で、母親が有志と原爆展を開くのだ。 両親は、二人とも反核・反戦運動に熱心だった。母親らが主催していた夏の原爆展では、小泉さんも投下直後の悲惨な写真を毎年見ていた。 『風が吹くとき』『トビウオのぼうやはびょうきです』……。当時読んだ原爆をテーマにした児童書の題名は、いまでもいくつもそらんじられるほど。その恐ろしさは、深く脳裏に刻まれた。 母親らが原爆展をしている階下の図書館で、息子は軍事本も、読みあさっていた。自衛隊員と遊んでいることも、親は快く思わなかった。 「両親とはさんざんもめました」 だが、両親との確執は、独特のバランス感覚とさまざまな素養を養うことにもなった。 意見の異なる相手にどう耳を傾け、どうしたら納得してもらえるのか。自分のやっていることを両親に説明しようと必死で考え
手元に置いた携帯電話がひっきりなしに鳴っている。ほとんどが取材依頼だという。2月24日のロシアによるウクライナ侵攻後、時の人になった。 引っ張りだこになるのには訳がある。相手に目線を合わせつつ、複雑な事象をわかりやすく説明する力。ロシアにもウクライナにもくみせず、膨大な軍事情報をつないで全体像を描き出す分析力。 「彼は言葉の力で一種の社会現象を起こしている」。そう話すのは、2019年、小泉さんを東大先端科学技術研究センター(先端研)に誘った先端研教授の池内恵さんだ。 「彼が話すと議論が整理されていくんです。いろんな人が投げた球を一つずつ拾い、それに答えつつまとめるという、非常に高度なことをやっている」。だが、人気の理由は、明晰さだけではなさそうだ。ときおり垣間見せるユーモアや、硬軟とりまぜた引き出しの多さ。自ら「軍事オタク」ぶりを見せて、楽しんでいるふしもある。 東京大学先端科学技術研究セ
元米海兵隊員のザカリー・A・バーガート(36)がウクライナに到着したのは3月1日、ロシアの侵攻開始から6日後のことだった。辺りには雪が降っていた。 ルーマニアから、陸路でウクライナ南西部に入った。持ち物は、綿のガーゼや包帯、火傷用のクリームといった医薬品など。柔術道場のオーナーで、同じく元海兵隊員のマーク・ターナーら2人と一緒だった。雪に覆われた野原を横切り、自動小銃「AK47」を携えた兵士たちのいる検問所を通過する。 バーガートの頭に浮かんだのは、第2次世界大戦だった。 「こんな寒い冬に、この地域で戦った人たちがいたのか。彼らはどれだけ嫌な思いをしたことだろう」 目的地は、米国からともにやってきた友人のユーリ・シュパレイの故郷だった。シュパレイはウクライナ出身で、現在は米国籍を取得している。 安全上の理由から、故郷がどこかは明らかにできない。シュパレイがその小さな町に着くと、母親も祖母も
改革派で開明的と、もてはやされたサウジアラビアのムハンマド皇太子の評判が地に落ちてしまった。 米国の情報機関を統括する国家情報長官室が2月26日、米紙ワシントン・ポストなどでコラムニストを務めたサウジ人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害事件で、ムハンマド皇太子が氏の「拘束または殺害」を承認していたとの報告書を公表した。 米サウジの同盟関係は、米国の中東政策の大きな柱の一つ。実質的な権力者で次期国王に就任する可能性が高いムハンマド皇太子との関係をめぐって、バイデン米政権は苦慮している。 子供時代から異彩放つ カショギ氏は、もともとサウジ王室に近い人物だったが、ムハンマド皇太子の改革に賛成しながらも、皇太子の強権的な政治手法や不十分な改革姿勢を批判していた。 カショギ氏は生前、トルコ・メディアのインタビューで、サウジに民主主義や選挙を導入して有権者に政権運営を評価させる政治制度を導入し
ベラルーシ情勢は相変わらず膠着状態 当連載では、しばらくベラルーシの話題から離れていましたが、今回は約1ヵ月振りにベラルーシを取り上げてみたいと思います。 結論から言えば、その後もベラルーシ情勢は膠着したままです。野党統一候補だったチハノフスカヤは10月13日、ルカシェンコに10月25日までに退陣するように求め、それに応じなければ国民がゼネストに突入するという「最後通牒」を付き付けました。もちろん、名うての独裁者がそんな要求に応じるはずもなく、最後通牒の期限が過ぎても何食わぬ顔で国民の指導者を演じ続けています。反ルカシェンコ派の市民は、チハノフスカヤの呼びかけに応じ、可能な範囲でデモやストを敢行していますが、平和的な抗議行動で体制が揺らぐ気配は、今のところ見て取れません。 ですので、今回も、漠然と情勢を論じるというよりも、テーマを設定してベラルーシを掘り下げてみたいと思います。この連載では
業界の首位と2位は単純に言えば競い合うだけの関係ですが、同じ組織のトップとナンバー2となると、支えもすれば競いもする複雑な人間模様を描きます。 最初の出版から今年で40年、2度目のアニメ化が進み、国境も世代も越えて読み継がれているSF小説の大作「銀河英雄伝説」(銀英伝)では、その序盤、異彩を放つ登場人物がトップに「ナンバー2不要論」を具申します。「組織にナンバー2は必要ありません。無能なら無能なりに、有能なら有能なりに、組織をそこねます」――。 この発言は物語の展開を大きく変え、多くの銀英伝ファンの心を揺さぶることになるのですが、著者の田中芳樹さんはこの発言にどんな思いを込めていたのでしょうか。(大牟田透) 「銀河英雄伝説」のオーベルシュタインが唱える「ナンバー2不要論」を語る田中芳樹さん 銀英伝は、銀河帝国のラインハルト、自由惑星同盟のヤンという2人の若い戦略家の攻防を軸に描かれた壮大な
――どんなきっかけでごみ清掃の仕事を始めたのですか。 36歳の時に妻が妊娠して出産のお金が必要になりました。芸人の仕事だけではとても足りないのでアルバイトを探したんですけど、これが見つからないんです。まだお笑いをやりたい途中なのに消極的にやめるのはイヤだった。友達にたまたま紹介されたのがごみ清掃員でした。 それまで、ごみのことを真剣に考えたことなんて一回もなかったので、衝撃を受けたんですよ。何にかって言うと、ごみの量。ごみ清掃車は1台約2トン入るんですけど、それを1日6回集めては捨てて、ってやるから合計12トン。それが何百、何千台って毎日、いろんなところを走っているんですよ。 怖くなってベテランの先輩に『日本って、ごみあふれませんか』って聞いたら、『あふれるよ』って当たり前のように言うんです。もうびっくりしちゃいましたよ。 ――ごみの量や種類も地域によって違うと気づいたといいます。 普通の
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