医療職の能力開発(JSISH 学会誌)第 2 号のための原稿(最終稿 2012.9.11) 1 (総説) 教育改善と研究実績の両立を目指して:デザイン研究論文を書こう 鈴木克明・根本淳子(熊本大学大学院教授システム学専攻) はじめに:デザイン研究の勧め 現実の教育実践場面を研究フィールドとする際に用いられる研究方法として, 「デザイン 研究(Design-based Research) 」に対する注目が高まっている 1) .従来の実験室での統制群 と実験群の比較による検証方法とは根本的に異なり,複雑な要因が絡み合って成立してい る教育実践現場に研究者が入り込み,あるいは実践者自らが研究者となって,教育実践を デザインする中でこれまでの研究知見を活用し,それを発展させていくための枠組みであ る.表1に,従来の実験研究とデザイン研究の違いを示す.この表は,デザイン研究の創 始者の一人であるコリ