ガードマンの仕事を9社落とされ、残った金で、サイバー(上野駅前のパチンコ屋)で勝負をかけるも見事にスり、上野駅前でホームレスとなってしまった寅さん。聞くと、現在は生活保護を受けながら青梅にあるアパートに暮らしているという。なぜ、家があるというのにこんなところに寝ているのだろうか。 「家があるなら帰ったほうがいいですって。まだ終電ありますよ」 私がそう促すと、寅さんは何の恥じらいもなく堂々とその理由を話した。 「俺は18年前に新潟から上野に上京してきたからよ、青梅なんかよりこの街のほうが、なじみがあるんだよ。役所から金が入ったから遊びに来たんだけどよ、アパホテルに泊まって、サウナに入って、酒を飲んだらあっという間に金がなくなっちまった。これじゃ来月の家賃が払えないからよ、残金5000円をパチンコに突っ込んで増やそうとしたってわけよ。電車賃がないなら、帰れねえだろうよ」 仕方がないだろと言わん