英国料理を代表するイングリッシュ・ブレックファースト。にぎやかな盛り合わせが食べる楽しみを倍増させる(黒瀬悦成撮影) 「英国でおいしい食事がしたければ1日に3回朝食をとればいい」とは、皮肉屋で知られた英作家サマセット・モームの言葉だ。英国の食事情は近年、大幅に改善されたものの、モームの貢献もあって全世界に浸透した「英国の食事はまずい」との固定観念は相当に強固なようだ。 ただ、英国の名誉のために申し添えれば、トーストと目玉焼きに大豆のトマト煮、小麦粉のつなぎが入った英国流ソーセージ、焼いたトマトとキノコなどを盛り合わせたイングリッシュ・ブレックファースト(英国式朝食)が食べる者に多大なる満腹感と幸福感を保証する偉大な発明である事実に揺るぎはない。 問題は、肉類と油による飽和脂肪酸、塩分、高カロリーが引き起こす健康リスクだ。実際、英国でも若者を中心に健康に配慮して伝統的な朝食に背を向ける傾向が