【読売新聞】 脱炭素に向け、二酸化炭素(CO2)を大量に排出する石炭火力発電所の廃止を求める潮流が国際的に強まっている。 日本は、新たな脱炭素技術を開発し、石炭火力への依存度を下げていきたい。 先進7か国(G7)の気候・エネルギー・
国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が30日からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで始まる。 冒頭の首脳級会合には岸田文雄首相も出席する。温暖化防止を目指す脱炭素社会への取り組みは、各国間の熾烈(しれつ)な経済競争と表裏一体だ。その現実を踏まえて協議に臨んでもらいたい。 会議の基調を形成する首脳級会合では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを2030年までに3倍に拡大する目標が重要テーマになる見通しだ。議長国のUAEの発意である。 産油国のUAEに不利な目標とも映るが、発電量が不安定な再エネには発電ムラを均(なら)すための火力発電が不可欠だ。従って世界の天然ガスの需要はなくならない。産油国にとって再エネ拡大はガス・石油輸出との両立が可能な脱炭素政策なのだ。 それに引き換え日本にとって再エネ3倍は至難である。国土が狭く再エネ施設の追加余地に乏しい。政府は洋上風力発電に期待す
新規制基準の下で最初に再稼働を果たした九州電力の川内原子力発電所。国内の全原発33基中、これまでに再稼働したのは西日本の10基に過ぎない(2010年3月撮影) 日本原子力文化財団(東京都港区)が2006年度から継続している「原子力に関する世論調査」の22年度版がまとまった。 約30の調査項目のうちから日々のニュースでも多く接する「高レベル放射性廃棄物(HLW)」「原子力発電の利用」の2テーマを中心に眺めてみよう。 回答者は15~79歳の男女1200人。全都道府県から無作為抽出された人々だ。その関心のありどころをはじめ、政府やメディア、電力事業者などからの情報がどこまで人々に届き、どのように受け止められているかも見えてくる。 核のごみ問題HLWは原子力発電で生じる核のごみだ。1万年後にも放射能を持つため、ガラスに混ぜて固化体に加工した後、地下300メートル以深の岩盤に掘られた貯蔵施設に埋設さ
ドイツが4月中旬、3基の原発の運転を停止し、2011年3月の東京電力福島第1原発事故を受けて進めてきた「脱原発」が完了した。ロシアのウクライナ侵略に伴う世界的なエネルギー危機で原発の停止を一時先送りしたものの、中道左派のショルツ政権は約60年にわたった原発利用に幕を下ろした。 メルケル前首相が主導したこの政治決断をめぐり、ドイツ世論は割れている。最近の世論調査では原発の稼働継続に65%が賛成し、即時停止を支持する26%を大きく上回った。稼働継続に賛成する人の約半数は無期限での稼働延長を求めている。電気料金のさらなる高騰や電力不足を懸念しているからだ。 与党内にも異論が根強い。脱原発は連立を組む「緑の党」も主張してきたが、産業界と近い「自由民主党」(FDP)は電力安定供給のために稼働継続を訴えていた。稼働を止めた原発は解体せず、予備電源として当面残すことも要望している。 ただ、脱原発を果たし
チャレナジーがフィリピンに設置した風力発電機。プロペラの代わりに垂直に伸びた円筒が回転することで風車が回る(同社提供)日本の風力発電ベンチャーが、独自技術で途上国の電力不足を解決しようと動いている。強風下でも安定的に発電できる特長がある風車を開発し、台風の通り道となる島国をターゲットに実証を進めている。実際に風車を設置したフィリピンに続き、アフリカのマダガスカルでも基礎調査を実施。電化率が低い海外の離島などで電力の安定供給に貢献したい考えだ。 このベンチャー企業は、2014(平成26)年設立のチャレナジー(東京都墨田区)。風力発電に特化した開発型ベンチャーだ。 風力発電は大きなプロペラ型風車が回ることで発電する設備が一般的だが、チャレナジーが手掛けている風車にはプロペラはない。代わりに、垂直に伸びた円筒が回転することで発電する「マグナス式」と呼ばれる風車を採用している。
東京都の小池百合子知事が産経新聞のインタビューに応じ、ロシアによるウクライナ侵攻後のエネルギー危機など日本の現状を踏まえ、新築一戸建て住宅などへの太陽光パネル設置義務化の必要性を重ねて訴えた。生理や更年期など女性の課題を解決する製品やサービス「フェムテック」を開発する中小企業の支援に向け、来年度予算で助成を行う考えも示した。(聞き手・社会部長 酒井孝太郎) --新型コロナウイルスとの共存には、どのような対応が必要と考えるか 「これまでに『第7波』、そして今のいわゆる『第8波』と、それぞれ経験してきた。皆さんの協力もいただき、現在地に至っている。波によって様相が違う。『攻め』のワクチン、『守り』の感染防止対策、『備え』の医薬品や生活用品の備蓄。(都民には)この3点セットをお願いしている」 「経口薬も手に入るようになり、(これまでとは状況が)大きく違う中で新型コロナの法的位置づけの見直しに向け
世界的なエネルギー危機が吹き荒れる中で新年を迎えた。ロシアによるウクライナ侵略に伴い、燃料価格は歴史的な高値水準を記録している。海外からの資源輸入に依存する日本も電気・ガス料金が大幅に値上がりするなど、家計や企業は負担にあえいでいる。 深刻な電力不足も解消されていない。電力自由化と脱炭素で火力発電所の休廃止が進む一方、新規の発電所投資は停滞しているからだ。とくに原子力発電所が1基も稼働していない東日本では、暖房用の電力需要が高まる1~2月に電力需給の逼迫(ひっぱく)が懸念される。 建て替えや新増設盛る今年は第1次石油危機から50年の節目の年でもある。日本はこの国難を省エネと原発の推進で乗り切り、技術開発を通じて環境立国の地位を築いた。 新たなエネルギー危機を迎える中、日本は原発と再生可能エネルギーの脱炭素電源で電力の安定供給を確保しつつ、水素など次世代エネルギーの開発・普及を進め再び世界を
令和7年4月から東京都の新築戸建て住宅に太陽光パネル設置を義務付ける関連条例改正案の審議が都議会で進められている。脱炭素社会の実現につながる太陽光発電の普及に正面から反対する党はなく、15日の本会議で可決、成立する見通しだが、第1党の自民党が「義務化」の手法に異論を唱え、採決までに曲折も予想される。太陽光パネル設置は、川崎市も令和7年度の義務化を目指しており、都議会で条例改正案が成立すれば、全国の自治体で設置を義務付ける流れが広がる可能性もある。 「現段階で都民に理解を頂いているか疑問が残る。義務化の意義について納得できる説明もない。なぜ、義務化という強い手法をとるのか」。7日の都議会代表質問で自民党の菅野弘一議員はパネル設置の進め方に疑問を投げかけ、小池百合子知事に慎重な対応を求めた。 だが、小池氏は目標とする2030(令和12)年までのカーボンハーフ(温室効果ガス排出量半減)の実現に向
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻では史上初めて稼働中の原発が攻撃の対象になった。日本近海でも北朝鮮による弾道ミサイル発射が相次ぐ中、原発が標的にされる最悪の事態に不安もちらつく。日本の原発は航空機テロなどへの対策を求められてはいるが、他国からの武力攻撃は想定していない。有事への備えに打つ手はあるのか。 有事で標的になる可能性「攻撃の強度にもよるが、施設で守るのは不可能だ」。10月19日の定例記者会見で、原子力規制委員会の山中伸介委員長は、原発がミサイル攻撃を受けた場合について、こう断言した。その上で安全規制による対策の限界を示しつつ、「例えば、国民保護法に基づき政府が原子炉を止める命令を発出することは可能」との見方を示した。 原発の心臓部である原子炉は、厚さ約1メートルのコンクリートで覆われた建屋内にあり、放射性物質が外に漏れるのを防ぐ原子炉容器も厚さ約20センチの鋼鉄でできている。テロ
原発の運転期間の延長幅が短く限定される可能性が高まっている。 「原則40年、最長60年」の上限がある原発の運転期間の見直しを進めている経済産業省が延長期間を「安全審査に伴う停止期間など」に限定する案を示したためだ。 これでは日本の今世紀半ばのエネルギー安全保障が危ぶまれる。 運転期間の見直しなどは、岸田文雄首相の指示で始まった取り組みだ。世界的な脱炭素の流れに加え、化石燃料の輸入でも厳しさを増す国際情勢に照らして、安定電源としての原子力の活用が不可欠と判断されたためである。 だが、経産省案では停止期間が補塡(ほてん)されるだけなので4~10年程度の延び幅に限定される。しかもトータルでの発電年数は現行の最長60年と変わらないので「朝三暮四」の故事に等しい対応だ。 前回の審議で経産省が有識者会議に示した延長方式には、もう1案があった。40年を基本的な期間とし、運転年数の上限は定めず、一定期間ご
エジプトで開かれていた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が閉幕した。 ロシアによるウクライナ侵略で生じたエネルギー危機に世界の国々が直面した中での開催だった。 地球温暖化問題は、エネルギー利用と表裏一体であるだけに、二酸化炭素を排出せず、安定供給力に優れた原子力発電への関心が高まった。 COPの会場には国際原子力機関(IAEA)と世界の原子力産業界によるパビリオンもオープンするなど原子力発電活用への広報活動が展開された。 危機告げる発表11月6日のCOP開幕を前に、国際機関から切迫した発表が相次いだ。2021年の二酸化炭素濃度が「史上最高」になったとか、各国が確約した温室効果ガスの削減目標を達成しても今世紀末の気温は産業革命前から「2・5度上がる」というものだ。 前者は世界気象機関(WMO)、後者は国連環境計画(UNEP)。 途上国は、温暖化がもたらす「損失と被害(ロス
欧州諸国で原子力発電の比重が増大している。ウクライナへの違法な侵攻で欧米などから制裁を受けたロシアが天然ガスの供給削減で反撃しているためだ。 原発の増設や新規建設、廃止延期など形は多様だが、原子力をエネルギー自給の原動力として重視する姿勢は各国共通。 そうした中、原発新設を目指すポーランドから官民混成の視察団が来日し、東京電力福島第1原子力発電所や関西電力の美浜原子力発電所を訪れた。 視察団との交流視察団はポーランド気候環境省の職員や大学の研究者、NPOのリーダーなど男女同数の計6人。原子力をはじめとするエネルギー、国際問題、気候変動を専門とするメンバーだ。 原子力国際協力センター(JICC、東京都千代田区)の招待で8月28日から1週間、滞在した一行と意見交換をする機会を得てポーランドの原発計画の概要やこれまでの歩みを聞かせてもらった。 以下は彼らの話を、国際エネルギー機関(IEA)のリポ
若き日の渡部雄吉から声をかけられ… SDGsなど脱炭素の風潮により嫌厭(けんえん)されていた石炭だが、いま燃料費高騰やロシアのウクライナ侵攻により再び関心が高まっている。かつてのにぎやかな炭鉱の思い出を、70年前の貴重写真で振り返る。 *** 【貴重写真】ふんどし姿で過酷な環境で働く炭鉱夫たち 女性は商品を選別する仕事に従事していた 先月、石炭が過去最高値を記録した。折からの燃料費高騰に加え、大きなシェアを占めるロシア産の供給がウクライナ侵攻によりストップ。また、不足している天然ガスの代替として需要が高まるなか、冬の到来を前に、さらなる値上がりが予想される。 日本にも、かつて多くの炭鉱が存在した。その一つ、常磐炭鉱は第2次世界大戦中から、福島県の一大産業として、活況を呈していた。 そんな繁栄まっただ中の常磐炭鉱を撮影したカメラマン・高岩震氏(94)はこう回想する。 「1952年、新宿のキャ
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