室井尚『文系学部解体』(角川新書)の書評を『本の旅人』に寄稿した。 室井さんの本をぜひ読んで欲しい。 「大学教育の終焉」 筆者の室井さんと私はほぼ同時期(90年代はじめ)に大学教員となり、それから四半世紀を大学教育の現場で過ごして来た(私は2011年に神戸女学院大学を早期退職したが、そのあとも別の大学に理事や客員教授としてかかわっている)。 私が勤めていたのは私立のミッションスクールであり、室井さんは国立大学なので、大学の雰囲気や運営ルールはずいぶん違うはずだけれども、四半世紀の間に経験した環境の変化はおおすじでは同じものだと思う。 それはこの本の中でも繰り返し指摘されている通り、全く無意味な仕事の増大によって教員たちの研究教育の時間とエネルギーが壊滅的に損なわれたということである。 ある時期から大学には「まったく無意味」としか思えない通達や規則が文科省から雨あられのごとく降りてくるように