小説家の篠田節子さん(61)は、約20年にわたって、近所に住む認知症の母(93)を支えています。「母は他人を一切受け入れず、介護サービスを利用できない。2人きりの閉じ込められた『母子カプセル』状態が続くのがつらい」と話します。 母が認知症と診断されたのは1998年頃です。ただ、その何年も前から、爆発的に怒り出したり、「誰かがうちを探っている」と妄想を口にしたりしていました。 親類の葬式に普段着で行って「これでいいんだ」と主張するなど、常識外れの行動も目立ちました。認知症だろうとは思っていたのですが、受診を嫌がるので診断まで時間がかかりました。処方された薬も嫌がります。 家族以外の人から世話を受けるのを拒みます。入院しても、看護師に「水を飲ませて」と頼むことすらできないので、私が病室に泊まり込まねばなりませんでした。ショートステイに預けた時は、一晩中「帰せ」と大騒ぎしたそうです。有料老人ホー