「東京高裁の判断が維持されるなら、結局娘がなぜ亡くなったのか分からない。がん患者の命はこんなに軽いのか」。イレッサの副作用の間質性肺炎で02年10月に次女(当時31歳)を亡くした原告の近沢昭雄さん(69)=さいたま市北区=は、全面敗訴の見通しとなったことに悔しさをにじませ、「『死んでも仕方ない』で済まされたようなもの。同様の問題はこれからも必ず起きる」と懸念した。 04年11月の提訴から約8年4カ月。有効性も認められている薬だけに、インターネットの掲示板などで非難されたこともあったといい、「苦しかった」と振り返った。12日は最高裁の法廷で判決を傍聴するという。 一方、厚生労働省医薬品副作用被害対策室の担当者は「決定文がまだ届いておらず、コメントできない」と話した。【和田武士、桐野耕一】