■孤立出産や死産は「罪」なのか リンさんは無罪だ──。そう大書された横断幕を支援者や弁護団が掲げた。 4月11日午前、最高裁前(東京・千代田区)。横断幕に見送られて弁護団は最高裁の中に入った。上告趣意書と意見書、そして6万8千筆にも及ぶ、無罪判決を求める署名を提出するためである。 死産した子どもの遺体を放置したとして「死体遺棄」の罪に問われているのはベトナム人技能実習生のレー・ティ・トゥイ・リンさん(23歳)(以下、リンさん)だ。いったい、彼女に何があったのか、そしてなぜ彼女の無罪を求める声が強いのか。まずは「事件」とされた一連の経緯を振り返ってみたい。 最高裁に上告趣意書、意見書、署名の提出に向かう弁護団の代表 リンさんは2018年8月に技能実習生として来日、熊本県内のミカン農家に就労した。送り出し機関やブローカーに請求された総額150万円の出国費用は借金で賄った。これを返済し、さらには